小論文試験は、
①高校で「小論文」といった授業科目が設定されておらず、
②また、「小論文」という高校教科書があるのでもなく、
③高校で「小論文の書き方」を教わった経験のない人も多い、
④そして、正答例を「なんとなく『眺める』」だけで、実力が自ずと向上するわけでもない
いわば「ないない尽くし」のなかで学習を進める対策が難しい科目です。
本番の試験で着実に高得点を取るには、
①論文とはそもそも何か
②論文のルール、作法、構造とはいかなるものか
③論理的思考力、表現力、読解力をどのように培うか
④図表読み取り問題で問われる《情報の取り出し》《解釈》《評価》
について理解したうえで、的確に対策と実践演習を進める必要があります。
合格者の声(2025年度大学入試)
講評[速報]
2024年11月18日(土)に日本赤十字広島看護大学の学校推薦型選抜が実施されました。
小論文試験に関する短評を以下に記します。
全体講評[短評]
設問は、これまでの本文抜き出し設問を踏襲しつつ、問5で「共感」という具体であり抽象であり、根本的で哲学的なことを問うている点で、これまでと同じ作問者による前年までの流れのままの出題であったと思われます。
課題文は、寓話的な物語を採っていて、一見すると高校生にとって「組みし易い」「読み易い」と感じるものであったかもしれません。
一方で、新自由主義に基づく価値観や考え方に対する批判的思考が課題文の背景にあることから、今年の出題もやはり「リベラル」のままだったと思います。
課題文と設問は、それぞれ具体(課題文=『約束のネバーランド』)と抽象(設問5=自己と他者の共感の可能性、意義と現代におけるその困難さ)と捉えられます。設問は、高校生にとって最も苦手な根本的で哲学的なテーマについて問うています。
ただし、当塾で課すそうした課題テーマ群を事前対策で行っていれば、「いきなりそんな根本的で哲学的なテーマを訊かれても、考えようも書きようもないです」とはならないはずです。
『約束のネバーランド』と宮沢賢治
参考までに触れておけば、当塾は課題文の『約束のネバーランド』という物語について事前知識は特にない一方で、課題文途中で言及されている宮沢賢治をみた瞬間、「これは、前年までと同じ教授の先生が作問しているな」と感じた次第です。
あくまで当塾の予想ながら、教育哲学などを専門領域とされる先生はなぜか宮沢賢治が好きな人が多く、それは宮沢の視角や射程が根本的で哲学的なところがあるからだろうと思います。
ポイント
それはさておき、答案は、課題文の具体的な寓話から自己と他者の共感をある程度抽象化しながら、人間や社会にとっての共感の重要性や意義について論述できていれば、大きな失点を食らうようなことはないと思われます。
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