名古屋市立大学芸術工学部(情報環境デザイン学科)[前期]一般選抜 小論文の概要と傾向
小論文試験は、
①高校で「小論文」といった授業科目が設定されておらず、
②また、「小論文」という高校教科書があるのでもなく、
③高校で「小論文の書き方」を教わった経験のない人も多い、
④そして、正答例を「なんとなく『眺める』」だけで、実力が自ずと向上するわけでもない
いわば「ないない尽くし」のなかで学習を進める対策が難しい科目です。
本番の試験で着実に高得点を取るには、
①論文とはそもそも何か
②論文のルール、作法、構造とはいかなるものか
③論理的思考力、表現力、読解力をどのように培うか
④図表読み取り問題で問われる《情報の取り出し》《解釈》《評価》
について理解したうえで、的確に対策と実践演習を進める必要があります。
合格者の声(2025年度大学入試)
試験の概要
出題形式:
配点:100/100 ※小論文もしくは実技からいずれかを選択
時間:ー
出題の傾向
難易度:難
【ポイント】
令和5年(2023年)度
設問1
設問は「課題文の事例や視点を参考にするなどして、あなた自身のこれまでの人生における『物を介して考える』という経験について、具体的に引用しながら、その様子や状況を描写しなさい」と設定されている。
これは、「必ず」課題文に沿うよう求められているわけではなく、ある程度課題文の主張から離れていても論理的に記述できていれば、合格点は得られるものであると解釈できる。つまり、<物を介する>というテーマに関して、仮に例えばメディア論における<モノ>をめぐる理論や考察をよく知っているとすれば、必ずしも課題文に沿う必要はないということではある。
しかし、高校生でそうした難解で高度な論考に通じているとは考えにくく、ゆえに大学は課題文を与えることで、<思考>に「物の操作」や「知覚情報の運動へのフィードバック」「視覚の重要な役割」を組み込ませながら<書く/打つ>といった人間の行為は機能し、成り立っている点をいわば補助線として示している。 こうした点を踏まえれば、課題文に全く沿わないといった「思い切った」戦略は勧められない。
また、「あなた自身のこれまでの人生における『物を介して考える』という経験」を具体的に挙げるよう設問で要求されてはいるものの、論文形式の一切を踏まえないというのも避けたほうが無難だろう。
設問で「あなた自身のこれまでの人生における経験」を記述するよう求められている以上、「私は」を用いざるを得ないと同時に、「私の経験」を書くことになる。つまり、論文ではなく散文(作文)に近づくことを意味している。
とはいえ、小論文試験である以上、<客観的な視点>から記述したいところである。設問にある「様子」や「状況」を書かせるというのは、そうした「客観性」といわば受験者の「感性」を測ろうとしている。様子や状況を記述するには、観察が欠かせない。そして、その観察対象に対する視点(俗語でいういわゆる「立ち位置」)も同時に問われる。わかりやすくいえば、「あなたは、どのような視点からその現象や事象を観察し、記述するのか」が問われるということである。
具体例は、「物の操作」、そして「見ながら考える」にふさわしい事例を取り上げたい。そして、設問文にあるように「様子」や「状況」を的確に記述することが求められている。それは論理的でありつつ、受験者の「感性」を読み手である採点官に感じさせたいところである。
つまり、正答例では「書いて考える」をさらに「作る」という人間の創造的な行為や営為にまで広げる視点を提出している(建築都市デザイン学科が設置されている点にも鑑みて、建築を具体的事例に取り上げている)。
芸術工学部という学部特性を意識した答案を受験生は執筆して欲しい。
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具体的な対策問題
過去問以外に、どのような問題に取り組むことが小論文対策になるかわからないといった相談の声が寄せられることがあります。
当校では、アドミッションポリシーを分析し、過去問以外で事前に取り組むべき対策問題を選定して提示するほか、時事課題論文については新聞記事から作問して用意するケースもあります。
参考)東大情報学環・お茶の水女子大・一橋大 院試過去問
例えば、東大情報学環(大学院修士課程)入試では、次のように出題される(2020年過去問)。
院試では課題文は与えられないことが一般的です。
以下はお茶の水女子大と一橋大の修士課程の過去問(2023年)。
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