東京学芸大学 教育学部 教育支援課程 教育支援専攻(E類 多文化共生教育コース)一般選抜 小論文の正答例と解説
小論文試験は、
①高校で「小論文」といった授業科目が設定されておらず、
②また、「小論文」という高校教科書があるのでもなく、
③高校で「小論文の書き方」を教わった経験のない人も多い、
④そして、正答例を「なんとなく『眺める』」だけで、実力が自ずと向上するわけでもない
いわば「ないない尽くし」のなかで学習を進める対策が難しい科目です。
本番の試験で着実に高得点を取るには、
①論文とはそもそも何か
②論文のルール、作法、構造とはいかなるものか
③論理的思考力、表現力、読解力をどのように培うか
④図表読み取り問題で問われる《情報の取り出し》《解釈》《評価》
について理解したうえで、的確に対策と実践演習を進める必要があります。
合格者の声(2025年度大学入試)
E類 多文化共生教育コース[前期]
配点一覧表
この表からも分かる通り、E類・多文化共生教育コースの小論文配点は、共通テスト1,200点、二次試験500点で共テの配点割合が高く、その準備と得点がひじょうに重要であると同時に、合否にとって二次試験の小論文がきわめて重要である点を強調しておきたいと思います。専攻コース名の通り、文化にまつわる状況、異文化理解とはどのようなことなのかに関する論理的思考力、読解力、記述力が問われています。
問題(課題文出典)
年度 | 出典 |
2024年度 | 設問Ⅰ 土屋恵一郎著『正義論/自由論 寛容の時代へ』岩波現代文庫,2002年 |
設問Ⅱ ハニフクレイシ著,武田将明訳『言葉と爆弾』法政大学出版局,2015年 | |
2023年度 | 設問Ⅰ ガイドイッチャー著,椋田直子訳『言語が違えば,世界も違って見えるわけ』早川書房,2022年 |
設問Ⅱ 平野健一郎「だが,庭を耕さなければいけない一共生原論:リスボン大震災から自然と文化・文明の関係を考える」権五定・斎藤文彦編著『「多文化共生」を問い直す―グローバル化時代の可能性と限界』日本経済評論社,2014年 | |
2022年度 | 設問Ⅰ 石井美保『めぐりながれるものの人類学』青土社,2019年 |
設問Ⅱ 石井美保『めぐりながれるものの人類学』青土社,2019年 |
- 問題意識・問題提示 ~人間や社会にとってなにが重要なのかを示す
- 観察(の記述) ~具体的事例を上げたうえで、それについて説明する
- 分析 ~その事例はどのような特徴があるのか(どのような特徴があると導き出せるのか)
- 考察 ~①・②・③をふまえ、さらに鋭く結論としてまとめる
- 小論文に関する基本的な考え方や知識(①②③)
- 各大学の入試小論文解説(④)
- 正答例にくわえてWeb上での講義(⑤)
- 当校受講生の合格者の声(⑥)
を以下のリンクからみることができます。
問題解説(概況)
学芸大E類多文化共生教育コースの一般入試における出題は、現代における文化をめぐる本格的で根本的なテーマやイシューが取り扱われている点で着実な小論文対策の準備が必要であろう。
上記の通り、課題文は読解が困難に陥るほど内容が高度で難解というわけではないものの、論考や評論を読むことに慣れていなければ理解のみならず答案論文を執筆することはそう易しくないだろう。繰り返せば、文化をめぐる根底的な事柄が扱われているからである。現代の文化をめぐる複雑で多様な問題系を論じるには、文化を眼差す視角(パースペクティブ)をあらかじめ耕しておくことが求められる。また、人種や宗教を取り巻く事態についても知識を深めておく必要がある。くわえて、文化のみならず外交や国際関係を含めた知識を取り揃えておくことを心掛けたい。
対策(当校からの受験アドバイス)
文化に関して論じるにあたって、次の双方を用意しておくことが重要であろう。
一つは、自身の身の回りにある事柄を注意深く観察し、グローバリゼーションとの連環を考えるということである。例えば、とりわけコロナ渦以降、ECサイトで商品を購入し、自宅に配送されることはより一層広がった。文房具のみならず水や食料など生活物資がすぐさま翌日、配送されるような物流体制が構築されている。そして、日本のみならず国際的な物流網も整備され、世界中で商品が移送されるような事態を迎えている。
他方で、もう一つはこうしたモノ(物資)をめぐる物流網ばかりでなく、ヒト(人間)、カネ(資金)が行き来するグローバリゼーションという現象や事象をどのように捉えるか、その論考をぜひ読んでおくべきである。教科書や新書を通じて事前に学び、それで得られる知見を答案に投じていきたいのである。答案論考がいわば「スタンドアローン」で、依拠するのは先に挙げた前者のみであると、いわゆる《論の厚み》は生まれてこないからである。
当校では文化をめぐる複層的な状況を論じるためのレクチャーを受講生におこなっていきます。
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1⃣まず、小論文を書く力を養うためには、“敵を知る”視点が重要です
2⃣次に、“論文を書く際のルール、作法、構造”を知る必要があります
3⃣そして、他の受験者との差別化を図ることで、高い得点で合格することが期待できます
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【動画目次】00:00本編先出し 01:02OP 02:14小論文対策[取組み当初] 04:47推薦入試準備 07:35小論文が書けるようになるコツ 10:28小論文対策としてのニュース視聴 11:45個々の強みを活かした小論文対策 13:01論文対策[論文形式に慣れる] 14:36他塾との違い(当校の強みと特徴)
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※各講座・コースとも受講人数に限りがあるため、お申し込み先着順となりますこと予めご了承ください
当校からのメッセージ
※1 受講生には繰り返ししつこく伝えてきたところではありますが、本試験では当校なりが臨席したうえで隣で答案執筆の介助や補助線を引くことはもちろんできません。サッカー選手のように、ピッチ上に出場した選手としてドリブル、パス、ポジショニングの自己判断を下しながらそれらを一人で行い、局面を打開せねばならない。本解説も「受験生の多くが知りたい、手っ取り早い正答例や正答パターン」を示せば、当然それに引きずられて各位が答案執筆をすることになるため、極力避けるよう配慮したいと考えています。文章を書くという行為自体がきわめて内省的な営為だからです
※2 また、参考までに付言しておけば、国公立・私立を問わず、また志望校の難易を問わず、上記の他大学出題解説は役に立つものなので、閲読しておいてください(×「国公立だから関係ないや」「私立だから見なくていいか」)
※3 答案を執筆した際は、出題分析の質の高さが担保された添削講評を受ければ、いわゆる「書きっぱなし」にならずに済むため、当校ほかで提供している「単発添削」や「講座受講」を活用することを勧めておきます
※4 なお、当校講師は社会情報学、メディア研究で博士課程で修学した経験や私立大学で「情報社会論」の講師を務めた経験があるため、東大情報学環(大学院修士課程)入試や社会科学系大学院修士課程入試の論文指導も可能です
参考)東大情報学環・お茶の水女子大・一橋大 院試過去問
例えば、東大情報学環(大学院修士課程)入試では、次のように出題される(2020年過去問)。
院試では課題文は与えられないことが一般的です。
以下はお茶の水女子大と一橋大の修士課程の過去問(2023年)。
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