神戸大学 国際人間科学部グローバル文化学科[後期]一般選抜 小論文の概要と傾向
小論文試験は、
①高校で「小論文」といった授業科目が設定されておらず、
②また、「小論文」という高校教科書があるのでもなく、
③高校で「小論文の書き方」を教わった経験のない人も多い、
④そして、正答例を「なんとなく『眺める』」だけで、実力が自ずと向上するわけでもない
いわば「ないない尽くし」のなかで学習を進める対策が難しい科目です。
本番の試験で着実に高得点を取るには、
①論文とはそもそも何か
②論文のルール、作法、構造とはいかなるものか
③論理的思考力、表現力、読解力をどのように培うか
④図表読み取り問題で問われる《情報の取り出し》《解釈》《評価》
について理解したうえで、的確に対策と実践演習を進める必要があります。
合格者の声(2025年度大学入試)
試験の概要
出題形式:
※大学HPで過去問公開
※課題文は著作権の関係上、省略
配点:200/500
時間:
出題の傾向
難易度:難
※以下、青地はリンク
【ポイント】
課題文が公開されていないことを受けて、設問と出題意図から説明をくわえる。
令和5年度
岩波新書『人種主義の歴史』から課題文は採られた。岩波書店には次のような解説がHPに掲載されている。
「人種主義(レイシズム)は、ナショナリズム、植民地主義、反ユダヤ主義等と結びつき、近代世界に計りしれぬ惨禍をもたらし、ヘイトスピーチや黒人差別など、現代にも深い影を落としている。大航海時代から今日まで、その思想と実態を世界史的視座から捉える入門書」
ナショナリズムは、政治学のみならずさまざまな社会科学の学問領域から論じられてきたテーマであるが、国際人間科学部グローバル文化学科という学部学科名から、取り急ぎベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』を小論文対策論考として紹介しておきたい。
植民地主義については、同じ令和5年度横浜市立大学 国際商学部A方式・B方式[前期]一般選抜の出題解説にG・C・スピヴァクによるサバルタンというタームとともに解説しているので、参照しておいてほしい。
反ユダヤ主義に関して、ハンナ・アーレントの『全体主義の起原』が著名な論考として知られる。原典は読みごたえがあるので、新書の解題書などにあたっておくと、小論文対策になる(リンクはNHK「100分で名著」)。
アンダーソン・スピヴァク・アーレントはこの学部学科を受験するのであれば、予め知っておくべき重要論者であるため、紹介した。
というのも、問2で「世論の汚染を科学が下支えしている」という課題文下線部の説明が求められている。もちろん、課題文の事例に沿って記述するのであるが、例えばアンダーソンの出版資本主義print capitalismを事前に知っているのといないのでは、答案記述の「厚み」が変わってくることを指摘しておきたい。
(紙幅が限られているため紹介のみにとどめるが、世論に関してはW.リップマンの名著のほか、ガブリエル・タルド『世論と群衆』、佐藤卓巳『輿論と世論』、エドワード・サイード『戦争とプロパガンダ』、ノーム・チョムスキー『メディア・コントロール ―正義なき民主主義と国際社会』ほか挙げていけば切りがなくなるため、特に情報系学部・院などで必要となる受講生に別途、個別に紹介することにしたい)
問3では「まなざし」という課題文の考察について具体例や体験談を引き合いにしながら論じるよう指示されている。「まなざし」について、社会学において視覚社会学と呼ばれる領域がある。北澤裕(早稲田大学教授)によれば、「見る事が、人や社会などをどのように作り上げていくのかを、視覚や見る行為自体に焦点を合わせ、その特性を社会学的に明らかにする」学問領域である。メディア論においても、視覚はきわめて重要なテーマとして扱われてきた。紙幅の都合から紹介はかなわないものの、視覚と近代における人間の知の在りありようとは非常に重要な関係があるため、今後いずれかの大学で出題される可能性もあるだろう。
令和4年度
ごく短く紹介するにとどめるが、情動affectionは、現代思想のみならず神経科学などでも論じられるようになった重要概念である。哲学や現代思想のフィールドでは、一言でいえば主意主義に対する問い直しを迫るものであるのだが、ここでは小論文対策のヒントとなる用語として触れるのみにしておきたい。
ただし、情動について出題されるということは、この学部学科を受験するにあたり、インスタントな付け焼き刃では決して通用しない点を強調しておこう。それは大学学部学科の明快なメッセージである。本短評もその水準に対応することを意識した。
令和3年度
グローバリゼーションに関して、【中央大学 国際経営学部】2023年度 小論文解説・正答例で詳しく解説しているので、課題文理解、答案記述、そして今後の小論文対策の参考にしてもらえればと思う。
※1 受講生には繰り返ししつこく伝えてきたところではあるが、本試験では当校なりが臨席したうえで隣で答案執筆の介助や補助線を引くことはもちろんできない。サッカー選手のように、ピッチ上に出場した選手としてドリブル、パス、ポジショニングの自己判断を下しながらそれらを一人で行い、局面を打開せねばならない。本解説も「受験生の多くが知りたい、手っ取り早い正答例や正答パターン」を示せば、当然それに引きずられて各位が答案執筆をすることになるため、極力避けるよう配慮したいと考えている。文章を書くという行為自体がきわめて内省的な営為だからである
※2 また、参考までに付言しておけば、国公立・私立を問わず、また志望校の難易を問わず、上記の他大学出題解説は役に立つものなので、閲読しておいてください(×「国公立だから関係ないや」「私立だから見なくていいか」)
※3 答案を執筆した際は、出題分析の質の高さが担保された添削講評を受ければ、いわゆる「書きっぱなし」にならずに済むため、当校ほかで提供している「単発添削」や「講座受講」を活用することを勧めておきます
※4 なお、当校講師は社会情報学、メディア研究で博士課程で修学した経験や私立大学で「情報社会論」の講師を務めた経験があるため、東大情報学環(大学院修士課程)入試や社会科学系大学院修士課程入試の論文指導も可能です
【動画目次】
00:00:00 スポ科出題の傾向と対策・2025年度総合問題について
00:02:20 《スポーツを論じる》とは
00:03:25 スポ科小論文対策の必須購読書(赤本推奨書はNG)
00:07:54 大学共通テスト[現代国語]詳細解説&共テで学べる小論文対策
00:14:03 論文とは何か・論文の書き方※講義抜粋
00:16:38 小論文は「私は」と書かない!?作文と論文
00:17:20 論文の基本的な構造
00:17:35 要約の基本
00:18:39 小論文の要諦とNG
00:19:24 小論文のテクニック5選
00:19:50 質疑応答
【動画目次】
00:00:00 OP
00:00:32 答案はどうなっていると減点されるのか?
00:03:35 答案はどうすると加点、高得点になるのか?
00:05:34 スポ科2025年度総合問題で重要なこと
00:06:23 基礎的な考える力
[2024スポ科発表の出題意図]
00:07:33 小論文の採点とはどのようなものか?
00:09:52 主張や指摘は理由や根拠とともに示す
[2024スポ科発表の出題意図]
00:12:06 ターム(単語)の並置
00:12:28 文章技法・三点セット
00:13:50 資料読み取り問題は「特殊」なのか?
00:14:29 カギカッコ~常識を疑う
00:14:52 スポーツをカギカッコに入れる?つまり「この世からスポーツがなくなったら…」
【動画目次】
00:00:00 OP
00:00:21 スポ科専願の理由
00:03:50 大学共通テスト得点状況
00:05:41 講座受講時の提出答案と添削状況
00:06:21 試験直前答案のピンチとは!?
00:07:38 講座内予想問題と本番試験
00:09:34 2024年度問題「この世からスポーツがなくなったら」
00:10:39 合格のポイント1
00:12:55 合格のポイント2
00:15:36 小論文のポイント1
00:16:27 スポ科答案論文のポイント
00:19:06 当校の見立てるスポ科答案採点基準
00:21:07 大学入学後にやりたいこと‼
00:23:18 合格後の小論文に関する感想
00:24:49 小論文のポイント2
00:25:30 小論文試験が課される理由
00:26:20 当校講座受講のメリットと内容水準
00:27:10 ご家族の合格の喜び
00:27:45 合格のポイントまとめ
00:28:56 合格のポイント再まとめ
00:29:22 合格の実感は?
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基本講座
国公立二次対策も
早慶専科講座
一般選抜・推薦選抜
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専科講座
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専科講座
単発添削
コース
- 上記の【各講座】で《いますぐに取り組めること》《取り組んでおくべきこと》をレクチャーし、二次試験までのスケジュールを組んだうえで、合格へ導きます
- 受講申込多数の際、人数制限を設ける予定のため、早めの申込(受講枠確保)がお勧めです
具体的な対策問題
過去問以外に、どのような問題に取り組むことが小論文対策になるかわからないといった相談の声が寄せられることがあります。
当校では、アドミッションポリシーを分析し、過去問以外で事前に取り組むべき対策問題を選定して提示するほか、時事課題論文については新聞記事から作問して用意するケースもあります。
参考)東大情報学環・お茶の水女子大・一橋大 院試過去問
例えば、東大情報学環(大学院修士課程)入試では、次のように出題される(2020年過去問)。
院試では課題文は与えられないことが一般的です。
以下はお茶の水女子大と一橋大の修士課程の過去問(2023年)。
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