外務省専門職員採用試験[専門科目試験]時事論文 概要と傾向
外務省専門職員採用試験の専門科目試験のうち、時事論文にフォーカスし、解説をおこなっていきます。
過去の出題
すべて新聞記事の短信が課題文として設定されています。
年度 | テーマ | 出典 | |
2023 | 宇宙開発をめぐる国際協力の停滞 | 国際社会の目指すべき方向と日本外交の役割 | 日経 |
2022 | 強権国家と民主主義国家 | 国際秩序維持への道筋と日本の役割 | 読売 |
2021 | 30年の国際情勢変化 | 日本の役割と限界 | 読売 |
2020 | 宇宙探査技術が示す日本の存在感 | 日本の技術力の可能性と限界 | 毎日 |
2019 | ふるさと納税にみる日本における寄付文化 | その肯定的・否定的側面 | 日経 |
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/index.html#section4
問われているのは、俯瞰した大きなテーマ(外交、国際協力、国家、技術、文化など)に関して、日本の役割や可能性と限界などを個別具体的でアクチュアルな事柄から論述する能力です。外務省専門職員の採用試験にふさわしい出題内容といえるでしょう。
小論文試験の出題として、そのまま外国語学部や国際関係学部ほか教養学部など大学入試に置き換えられても違和感のないものです。
この試験を受験する人は、こうしたテーマに問題関心があり、大学・大学院生や社会人としてそれらを専門的に学ぶほか、実際に経験していることがあるかもしれません。
したがって、オーソドックスな出題であるため、特別な対策は必要ないと捉えられるかもしれません。専門的に学んだということは、レポートや論文にまとめる経験や訓練を通過している志望者が多いだろうことを意味しています。
それでは、ふだん新聞を読み、NHKニュースを見ておけば対策として問題ないかといえば、自身で書いたものを他者に査読してもらう必要性があるでしょう。「自分で思っているほど、よくは書けていない」という状況が考えられるからです。
対策
時事的な課題とはいうまでもなく、政治・経済・外交・文化・社会・スポーツ・環境・ジェンダーなどに関する時宜にかなったイシューのことです。
外務省の採用試験である以上、外交を主軸としてその他のテーマが出題され得るとしても、いわば捻り球ならぬ変化球が出されることはまずないといっていいでしょう。あくまでも日本の外交にとって重要な事柄が採り上げられ、出題されます。
誰もがわかる通り、日ごろからニュースに接して背景知識を拡充させておくことはもちろんのこと、次の二点も重要でしょう。
論文の型
一つは、論文の”型”です。
論理的な構成となっていれば問題ないにせよ、以下の論文の型に沿って論述することが、大学なり大学院で修学してきたことの証明となるだろうゆえ、外すことのできない論文構成でしょう。
- 問題意識・問題設定(の提示) ~人間や社会にとってなにが重要なのかを示す
- 観察(の記述) ~具体的事例を上げたうえで、それについて説明する
- 分析 ~その事例はどのような特徴があるのか(どのような特徴があると導き出せるのか)
- 考察 ~①・②・③をふまえ、さらに鋭く結論としてまとめる
決して新聞や雑誌の記事のような構成を外務省採点官は好まないだろうと思われます。なぜなら、外務省に入省後、欧米の大学院に留学するキャリアも多いだろうことからすれば、採点のスタンダードとなるのは、概ね学問的基準に据えられていると想定されるからです。もちろん厳密な意味で学術的ということではなく、海外における論文のスタンダードである“型”を遵守しておけば、間違いがないという執筆戦略となるでしょう。
specificな事例の提示
もう一つは、specificな事例の提示です。ここがポイントでしょう。
外務省専門職員ということは、ある特定の地域や国に関する専門的な知見をもつ集団ということです。その中で当然、言語や文化に関する深い理解が必要となる職種です。よく言われる通り、中国語であれば「チャイナスクール」、ロシア語であれば「ロシアスクール」など、言語に応じてかつての商社でいうところのナンバー制、つまり出身母体がどこなのかが入省後に付いて回り続けると見受けられます。
専門職員であれば、例えばミャンマーならミャンマーの専門家として育成されることになります。あるいはその語圏の周辺国、地域を含めたプロフェショナルと位置づけられます。
こうしたことに鑑みれば、この「時事論文」においてもある特定で詳細な事例を挙げて分析し、考察することが他の優秀な受験者との差別化で欠かせないでしょう。それで外務省専門職員としての素養や資質を示すのです。
したがって、ただ漫然と新聞を読んでいてもspecificな事例を挙げることができないことがわかるはずです。かなり精緻にニュースを通じて日本の外交に関して、あるいは外交に引きつけながら論じるための背景知識が決定的に重要となるはずです。
「あなたの意見」と言われて外務省専門職員試験で「私は」と書き始める受験者はいないだろうにせよ、「あなたの意見」とは日本の外交的な立場を理解し、踏襲するばかりでなく、「私なりに」分析するための材料、モチーフ、事例を「時事論文」に盛り込みたい。
ここが大学入試小論文とは異なる点で、高校生が無理をしてspecificな問いや事例を挙げる必要はないと当校は考えています。「私」を起点として、自身の身の回りにある事象や現象を深掘りすることは有効な小論文戦略であるが、そうした情報がきわめてspecificである必要があるかといえば、むしろ重要なのは、基礎的な論理的思考力や表現力であって、発想力や独自性はあるに越したことはないにしても、優先度は後者よりも前者のほうが高いだろう。なぜなら、大学入学後に講義を理解していくための能力を測っているからである。一方、外務省職員は、「私個人」の立場ではなく「日本国」の立場で職務を遂行するとともに、「私個人」の能力や資質をspecificな事例から示すことが重要と思われます。
外務省専門職員採用試験[専門科目試験]時事論文対策については、上述をふまえたうえで、単発添削で対応します。
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具体的な対策問題
過去問以外に、どのような問題に取り組むことが小論文対策になるかわからないといった相談の声が寄せられることがあります。
当校では、アドミッションポリシーを分析し、過去問以外で事前に取り組むべき対策問題を選定して提示するほか、時事課題論文については新聞記事から作問して用意するケースもあります。
参考)東大情報学環・お茶の水女子大・一橋大 院試過去問
例えば、東大情報学環(大学院修士課程)入試では、次のように出題される(2020年過去問)。
院試では課題文は与えられないことが一般的です。
以下はお茶の水女子大と一橋大の修士課程の過去問(2023年)。
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