東京学芸大学 教育学部 教育支援課程 教育支援専攻(E類 表現教育コース)一般選抜 小論文の正答例と解説
小論文試験は、
①高校で「小論文」といった授業科目が設定されておらず、
②また、「小論文」という高校教科書があるのでもなく、
③高校で「小論文の書き方」を教わった経験のない人も多い、
④そして、正答例を「なんとなく『眺める』」だけで、実力が自ずと向上するわけでもない
いわば「ないない尽くし」のなかで学習を進める対策が難しい科目です。
本番の試験で着実に高得点を取るには、
①論文とはそもそも何か
②論文のルール、作法、構造とはいかなるものか
③論理的思考力、表現力、読解力をどのように培うか
④図表読み取り問題で問われる《情報の取り出し》《解釈》《評価》
について理解したうえで、的確に対策と実践演習を進める必要があります。
合格者の声(2025年度大学入試)
E類 表現教育コース[前期]
配点一覧表
この表からも分かる通り、E類・表現教育コースの小論文配点は、共通テスト1,300点、二次試験1,300点の1:1という割合であり、小論文が合否を分ける鍵となります。専攻コース名の通り、表現する能力が問われています。二次試験はいわば小論文一発で合否が決まってしまうという点から、小論文対策のしがいもあるということになります。
問題
- 問題意識・問題提示 ~人間や社会にとってなにが重要なのかを示す
- 観察(の記述) ~具体的事例を上げたうえで、それについて説明する
- 分析 ~その事例はどのような特徴があるのか(どのような特徴があると導き出せるのか)
- 考察 ~①・②・③をふまえ、さらに鋭く結論としてまとめる
- 小論文に関する基本的な考え方や知識(①②③)
- 各大学の入試小論文解説(④)
- 正答例にくわえてWeb上での講義(⑤)
- 当校受講生の合格者の声(⑥)
を以下のリンクからみることができます。
正答例
大学公開解答例
当校作成正答例
対応講座・コース ※受講申込受付中
【解説】当校作成正答例の戦略と方向性
①課題文が論文調の論考ではなく、朝日新聞のコラムから採られた点および②テーマが競技スポーツと芸術の関係を問うものであった点をふまえ、正答例もやや「柔らかい」方向に振ったものとしています。これは、表現教育コースという専攻の特徴もふまえたものです。つまり、クリティカルな論証ばかりでなく、芸術に対する興味関心を採点者である大学側に感じさせることを企図した正答例として示しています。
E類表現教育コースを志望する受験生は、ここに述べた点を意識した小論文準備、そして答案戦略が求められます。
問2の解答戦略
問2の設問は次のようなものです。
芸術表現において、競い合うことは必要か。完成度や技術を高めることも考慮し、 作品を鑑賞した場合であれ、自ら表現した場合であれ、あなたがこれまでに経験した美術、音楽、文学、演劇、映像、舞蹈等の芸術表現の具体例を挙げて、芸術表現における競い合いの必要性についてのあなた自身の考えを、600字以上 800字以内 (句読点等を含む)で述べよ。
正答例は、競技スポーツと芸術について、いわば二項対立図式として捉えるのではなく、双方の境界が現代において溶解しつつあるのではないかという視座に立脚したうえで記述しています。
問1で問われた通り、競技スポーツと芸術は異なる特徴や特性をもつものとして弁別し、認識する必要がある一方で、とりわけ後者が今日、競争論理に晒されており、注意経済(アテンションエコノミー attention economy)つまり注目をいかに集めるか否かというアジェンダの中に置かれているのではないかという視座や視点を問2の答案として提出しています。
その具体的な事例として将棋を取り上げました。
その理由は、答案記述でも提示した通り、競技スポーツと芸術との関係のみならず、将棋AIの示す評価値、つまり「その局面における先手後手の対局者双方の優劣」が数値として示されること、そして対局する両プロ棋士以外の観戦者はその数値をみながら将棋中継を鑑賞することが一般的となった点から、答案で挙げる具体例として好適と判断したからです。
大学が公開している採点のポイントで示されている通り、「解答者の考えを述べるにあたって、適切な例が挙げられ、明快に説明されているか」が問われています。
受験者は、試験時間内に適切な具体例を挙げたうえで、「芸術表現において、競い合うことは必要か」について論じる必要があり、「美術、音楽、文学、演劇、映像、舞蹈等」に日ごろから接したり、論証の対象として捉え、考察する力があるのかを問われています。
正答例の補足解説[人工知能と人間社会]
正答例は、将棋界を代表する50歳以上の名人位戴冠経験者(永世称号呼称者・資格者の谷川浩司・羽生善治・佐藤康光・森内俊之)らシニア棋士のほかに、佐藤天彦九段という傑出した将棋棋士も想起しながら記述しています。彼はヨーロッパの音楽や絵画、服飾や調度類などにも造詣の深い将棋棋士であり、上記のキーワード(プログレマティーク 問題機制)に対する関心が窺い知れることもあるので、当校講師によるインタビューを参考までに貼り付けておきます。
将棋という限られたルールに基づくゲームは、チェスや囲碁に続いて、人間よりもAIソフトのほうが「強い」という事態を迎えました。そうした状況の中で「人間らしさ」とはなにか、人工知能と社会、芸術との関わりに対する示唆に富んだ内容です。
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当校からの受験アドバイス
以下のキーワードに関して、小論文答案の中で記述できるようにしておくことを勧めます。
一回性と複数性
芸術表現における一回性と複製技術のそれぞれの特徴
身体性と鑑賞
競技者や芸術家の身体性と人びとによる鑑賞方法の変化
競技・芸術と市場論理
資本主義社会におけるスポーツ・芸術の現状の問題点、課題と可能性
具体的な対策問題
過去問以外に、どのような問題に取り組むことが小論文対策になるかわからないといった相談の声が寄せられることがあります。
当校では、アドミッションポリシーを分析し、過去問以外で事前に取り組むべき対策問題を選定して提示するほか、時事課題論文については新聞記事から作問して用意するケースもあります。
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↓小論文の書き方がわかる↓
1⃣まず、小論文を書く力を養うためには、“敵を知る”視点が重要です
2⃣次に、“論文を書く際のルール、作法、構造”を知る必要があります
3⃣そして、他の受験者との差別化を図ることで、高い得点で合格することが期待できます
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↓小論文が書けるようになるコツとは?↓
【動画目次】00:00本編先出し 01:02OP 02:14小論文対策[取組み当初] 04:47推薦入試準備 07:35小論文が書けるようになるコツ 10:28小論文対策としてのニュース視聴 11:45個々の強みを活かした小論文対策 13:01論文対策[論文形式に慣れる] 14:36他塾との違い(当校の強みと特徴)
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※各講座・コースとも受講人数に限りがあるため、お申し込み先着順となりますこと予めご了承ください
当校からのメッセージ
※1 受講生には繰り返ししつこく伝えてきたところではありますが、本試験では当校なりが臨席したうえで隣で答案執筆の介助や補助線を引くことはもちろんできません。サッカー選手のように、ピッチ上に出場した選手としてドリブル、パス、ポジショニングの自己判断を下しながらそれらを一人で行い、局面を打開せねばならない。本解説も「受験生の多くが知りたい、手っ取り早い正答例や正答パターン」を示せば、当然それに引きずられて各位が答案執筆をすることになるため、極力避けるよう配慮したいと考えています。文章を書くという行為自体がきわめて内省的な営為だからです
※2 また、参考までに付言しておけば、国公立・私立を問わず、また志望校の難易を問わず、上記の他大学出題解説は役に立つものなので、閲読しておいてください(×「国公立だから関係ないや」「私立だから見なくていいか」)
※3 答案を執筆した際は、出題分析の質の高さが担保された添削講評を受ければ、いわゆる「書きっぱなし」にならずに済むため、当校ほかで提供している「単発添削」や「講座受講」を活用することを勧めておきます
※4 なお、当校講師は社会情報学、メディア研究で博士課程で修学した経験や私立大学で「情報社会論」の講師を務めた経験があるため、東大情報学環(大学院修士課程)入試や社会科学系大学院修士課程入試の論文指導も可能です
参考)東大情報学環・お茶の水女子大・一橋大 院試過去問
例えば、東大情報学環(大学院修士課程)入試では、次のように出題される(2020年過去問)。
院試では課題文は与えられないことが一般的です。
以下はお茶の水女子大と一橋大の修士課程の過去問(2023年)。
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