横浜市立大学 国際教養学部A方式・B方式 2023年度[前期]一般選抜【正答例・小論文解説】

横浜市立大学 国際教養学部A方式・B方式[前期]一般選抜【正答例・小論文解説】
横浜市立大学 国際教養学部A方式・B方式[前期]一般選抜【正答例・小論文解説】
  • URLをコピーしました!
目次

横浜市立大学 国際教養学部A方式・B方式 2023年度[前期]一般選抜 小論文の概要と傾向

小論文試験全般に関する説明

小論文試験は、
高校で「小論文」といった授業科目が設定されておらず、
また、「小論文」という高校教科書があるのでもなく、
高校で「小論文の書き方」を教わった経験のない人も多い、
そして、正答例を「なんとなく『眺める』」だけで、実力が自ずと向上するわけでもない

いわば「ないない尽くし」のなかで学習を進める対策が難しい科目です。

本番の試験で着実に高得点を取るには、
論文とはそもそも何か
論文のルール、作法、構造とはいかなるものか
論理的思考力、表現力、読解力をどのように培うか
図表読み取り問題で問われる《情報の取り出し》《解釈》《評価》

について理解したうえで、的確に対策と実践演習を進める必要があります。

合格者の声(2025年度大学入試)

①「小論文は苦手」を克服できるレクチャー
②「想像できないくらい文章力を向上させることができました」
③小論文の個別オリジナルテキストとなる詳しい講評・丁寧な添削
④「受かる小論文」の書き方がわかる、書けるようになる
小論文対策 学習支援!| 講義スライドを特別公開中‼
《そもそも小論文とは?》をわかりやすく70頁で説明
(画像クリックで
公式LINEアカウントページへ)
小論文対策講座!|わかりやすく丁寧なレクチャー、質の高いオーダーメイド対策で合格へ
(サイトメニューから
各講座紹介ページへ)
当校受講生合格者インタビュー!
(※画像クリックで「合格者の声」ページへ)
埼玉県内進学校 現役生|過去問の精緻で詳細な分析から類題を選定し、徹底した実践演習で苦手な小論文を克服して合格!

試験の概要

出題形式:
※大学HPで過去問公開

配点:200/500

時間:

出題の傾向

難易度:標準

※以下、青地はリンク

【ポイント】
2023年度(令和5年度)問題

課題文は平易であるものの、率直に言えば、当校講師にとっては非常に難しく感じた。

なぜなら、問1は60字、問2は150字、問3は300字、合計で510字と原稿用紙でいえば1枚ちょっとの少ない字数ではあるものの、60分という制限時間で正答を書き上げるには、次の二点で難儀したからである。

第一に、課題文は平易ではあるものの、論文というよりもエッセイに近いため、「ニュアンス」を汲み取りながら、曖昧な表現を解答で補完せねばならなかったからである。つまり、エッセイのテイストが強い課題文をなるべく厳密に設問の意図に沿って答案として要約するのは、なかなか骨が折れる作業で、こうした柔らかい文章に慣れておくことを勧めておきたい。
(この推奨は、小論文講師としていうよりも、むしろ雑誌に寄稿する際に硬軟双方のニュアンスで書き分ける経験を経てきた執筆者としての感覚のほうが強いかもしれない)

正答例

文系小論文基本講座

第二に、問3である。(C)「カッコいい」、(D)「ティッピング・ポイント」を必ず使用するよう設問で指示されている。(C)も(D)も採られた課題文中では定義は曖昧で、前後の文脈から例えば(D)は「ポイント・オブ・ノー・リターンpoint of no returnに近いニュアンスの語だろう」と推察しながら正答例を書いた。

マスコミの入社試験では、一見関係のない単語が三つ示され、それらを組み合わせて、一つの短い話として書く、いわゆる「三題噺」が出題される。そうした入社選考作文も60分ほどで、発想力、瞬発力、文章力を試すマスコミ試験の定番ではあるが、それに近いことを横浜市大の国際教養学部は求めているように感じた。

社会科学のみならず人文科学、つまり文学作品や文芸などにも親しんできた「知性」を問おうとする出題意図が垣間見られる。

そもそも、横浜市大国際教養学部の正答例を書こうと思った理由は、出題意図のみならず、受験生へのメッセージというものを公開しており、その内容に着目したからであった。

受験志望者はすでに目を通しているとは思うものの、改めてここで紹介しておこう。

出題意図にも「理屈ではなく気分で考える」アプローチを柔軟な発想で表現できる能力を問う設問と明示されている。論理性を追求しているわけではない課題文抜粋を採用する点で、看護大学の設問に近い印象もあった。それは短い時間で手際よくコンパクトに要約したり、意見記述を求める点でも共通しているからである。

正答例の(2)では、課題文中に記述はないものの、医療技術や生命工学というタームを盛り込んだ。これは科学社会学という学問領域がある点を意識した記述である。科学と社会との関係を問われた際に決して外すことのできない重要なテーマだからである。

出題意図に示された点で重要なのは(3)である。自分自身の問題関心に引きつけて、論じることを求めている。これは大学入学後にレポートなり卒論なりで常に問われることである(入学後にこのフレーズを何遍も聞くことになるでしょう)。大学入試小論文においても、採点者である大学教員はいかに《自分自身の問題関心に引きつけながら、論じること》ができるかをみているということが出題意図からよくわかる。

参照:「科学社会学」(松本三和夫【編】東大出版会)
参照:「科学が作られているとき―人類学的考察」(ブルーノ・ラトゥール (著))

大学による受験生へのメッセージ

さて、大学が示した《受験生へのメッセージ》である。きわめて重要な点が提示されている。それは次の三点である。

①知の土台
小論文試験は現代国語の試験とは異なるという点を、わざわざ明示しているというのは、高校生なりの「知の土台」を用意しておくようにという大学からのメッセージである。これを小論文対策に活かさない手はない。つまり、それが評価の対象だということである。

②問題意識
問題意識に言及している。問題意識は小論文試験でも最初に示す必要がある。
小論文の書き方で詳述しているので、ぜひ左記リンクから参照しておいてほしい。

③読書経験と対自化(客観視)、文章の厚み
さすが大学教員の先生による受験生へのメッセージで、「その厚みは確実に文章ににじみ出ます」という一節を紹介したいがために、正答例を作り、ここまで説明を続けてきたともいえる。

たとえ、小論文試験の答案であっても、文章を書くという行為は非常に内省的で自己を顧みる行為だという、その重要性をぜひ紹介しておきたかった。合格する、受かるために試験場において60分という短い時間との勝負をしながら必死に答案を書くことでさえも、内省的なのである。つまり、試験中に他の誰かと会話をしながら答案は書かない(もちろん小論文対策をしている準備期間中にも周りの人とお喋りしながら答案を書くことはできないはずである)。課題文や設問意図と格闘し、自らと対話するように文章というものは綴らざるを得ないというのが、長い期間に渡って様々な形式や形態の文章に携わってきた実感でもある。

それはマニュアルやテキストである程度は伝えることができる一方で、具体的な提出答案に対する赤字添削で伝える、レクチャーを受けるのがもっとも効果的であることを最後に記しておきたいと思います。

論文の「型」とは
  • 問題意識・問題提示 ~人間や社会にとってなにが重要なのかを示す
  • 観察(の記述) ~具体的事例を上げたうえで、それについて説明する
  • 分析 ~その事例はどのような特徴があるのか(どのような特徴があると導き出せるのか)
  • 考察 ~①・②・③をふまえ、さらに鋭く結論としてまとめる

これ1冊で本格的な小論文対策が学べる入門書。受講生・購読者から大きな反響

『小論文入門』PDF書籍|初学者向け小論文対策テキストの決定版
『小論文入門』PDF書籍|初学者向け小論文対策テキストの決定版

¥2,980円(税抜)¥3,278円(税込)

動画解説(※画像クリックで遷移)

動画解説(約14分)
動画紹介(1分弱)

講座・コース群 ※受講申込受付中

精度の高い分析に基づいた小論文対策で志望校合格へ
~質の高いオンライン個別指導で「受かる」小論文が書けるようになる~

総合型選抜
小論文対策にくわえて志望書添削面接練習・対策も行いたい方向け

一般選抜
難関中堅国公立・私立大学小論文対策を着実に行いたい方向け

時期や要望に応じた講座・コース群 ※受講申込受付中

総合型選抜、学校推薦選抜の入試が始まり、いよいよ受験「本番」に向けた学習に力を振り向ける時期に入りました。「小論文は、副科目」と準備を後回しにしてしまうと、「早めにやっておくべきだった…」と直前期に後悔することになりかねません。受験に打ち勝つためには冬を迎える前の準備開始が重要です。本格的な小論文対策を始めましょう。
※11、12月中いつからでも対策開始への対応が可能な講座・コース群です

カ月コース
※直前対策

直前期に短期間で高い精度の準備をしたい人へ!

↑小論文対策・資料読み取り問題を急ピッチで、そして高い精度で仕上げたい人向け

カ月コース
※早期対策

秋から小論文対策をスタートさせた受講生がいます!

↑2カ月前ころから準備を開始しておいて、焦らずにアドバンテージをとりたい人向け

カ月コース
※早期対策

昨年1点差で惜しくも涙をのんだ既卒生も受講中!

↑3か月前ころから着実に準備を開始し、他の受験生に圧倒的な差をつけたい人向け

カ月コース
※月謝制

読み、書く力がグンと上がった現役生が受講中!

↑小論文は「書いたことがない」、でも来年初には小論文対策を完成させたい人向け

基本講座
国公立二次対策も

※専科講座以外の大学学部
※総合型選抜&一般選抜
※1・2・3・4カ月コース

ハイレベル講座
難関国公立・早慶向け

※難関国公立・早慶向け
※総合型選抜&一般選抜
※1カ月コース

早慶専科
一般選抜・総合型選抜

※早慶各学部全般
※総合型選抜&一般選抜
※1・2・3・4カ月コース

スポ科専科
一般選抜・総合型選抜

※2025年度総合問題対策
※スポーツ推薦選抜&一般選抜
※1・2・3・4カ月コース

慶応文専科
一般選抜・総合型選抜

※難度の高い小論文対策
※自己応募推薦&一般選抜
※1・2・3・4カ月コース

学芸大専科
一般選抜・総合型選抜

※各学類・コースに対応
※学校推薦型選抜&一般選抜
※1・2・3・4カ月コース

※各講座・コースとも受講人数に限りがあるため、お申し込み先着順となりますこと予めご了承ください

具体的な対策問題

過去問以外に、どのような問題に取り組むことが小論文対策になるかわからないといった相談の声が寄せられることがあります。
当校では、アドミッションポリシーを分析し、過去問以外で事前に取り組むべき対策問題を選定して提示するほか、時事課題論文については新聞記事から作問して用意するケースもあります。

参考)東大情報学環・お茶の水女子大・一橋大 院試過去問

例えば、東大情報学環(大学院修士課程)入試では、次のように出題される(2020年過去問)。
院試では課題文は与えられないことが一般的です。

以下はお茶の水女子大と一橋大の修士課程の過去問(2023年)。

※1 受講生には繰り返ししつこく伝えてきたところではあるが、本試験では当校なりが臨席したうえで隣で答案執筆の介助や補助線を引くことはもちろんできない。サッカー選手のように、ピッチ上に出場した選手としてドリブル、パス、ポジショニングの自己判断を下しながらそれらを一人で行い、局面を打開せねばならない。本解説も「受験生の多くが知りたい、手っ取り早い正答例や正答パターン」を示せば、当然それに引きずられて各位が答案執筆をすることになるため、極力避けるよう配慮したいと考えている。文章を書くという行為自体がきわめて内省的な営為だからである
※2 また、参考までに付言しておけば、国公立・私立を問わず、また志望校の難易を問わず、上記の他大学出題解説は役に立つものなので、閲読しておいてください(×「国公立だから関係ないや」「私立だから見なくていいか」)
※3 答案を執筆した際は、出題分析の質の高さが担保された添削講評を受ければ、いわゆる書きっぱなしにならずに済むため、当校ほかで提供している「単発添削」や「講座受講」を活用することを勧めておきます
※4 なお、当校講師は社会情報学、メディア研究で博士課程で修学した経験や私立大学で「情報社会論」の講師を務めた経験があるため、東大情報学環(大学院修士課程)入試社会科学系大学院修士課程入試の論文指導も可能です

横浜市立大学 国際教養学部A方式・B方式[前期]一般選抜【正答例・小論文解説】

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次