神戸大学法学部[後期]一般選抜【小論文解説】

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神戸大学法学部[後期]一般選抜 小論文の概要と傾向

試験の概要

出題形式:
※大学HPで過去問公開
※課題文は著作権の関係上、一部省略

配点:250/250

時間:180分

出題の傾向

早稲田大学院博士課程出身講師がレクチャー
多数の作文・小論文・大学生レポートを採点。雑誌寄稿、論文執筆の経験

難易度:難

【ポイント】
課題文が一部公開されていないものについては、設問と出題意図から説明をくわえる。
課題文は4、5個与えられ、その分量が多い。3時間で捌くには、相当精度の高い訓練が必要である。

その特徴は設問に示されている通り、
①「あなた個人の見解を述べるのではなく、資料に書かれている内容に基づいて記述すること」
②「全ての資料を用い、どの資料に依拠したかを資料の番号を示して明らかにすること」
の二点である。
①について、神戸大学法学部を受験する人で「私は」と小論文で書き始める人はいないであろうから説明は省くものの、「あなたの考えを述べよ」と指示されたうえで「私は」と書かない理由をうまく理解できない高校生は多くいる。
②人文社会科学における資料の扱い方はきわめてクリティカルなものである。また法学においてもどの判例に基づく解釈なのかといったことはひじょうに厳密であることから、リーガルマインドの素養も測ろうという出題意図がみられる。

令和5年度
ドーピングの是非に関する立論を求めている。
特徴的なのは、4つの資料の配置、配分である。

【1】日本アンチ・ドーピング機構:公的組織による説明
《問題の所在》
ドーピングとはなにか、アンチドーピングとスポーツの価値
【2】『ドーピングの社会学』:スポーツ社会学からのアプローチ
《分析視角①》
テーマがドーピングである以上、その専門的な学問領域であるスポーツ社会学の文献(資料=課題文)にあたるというのは当然のことで、たとえ法学部であっても、その他の学問フィールドに関する知識や見解に目を通す必要もまた当然あるわけである(法曹職に就けば、法律についてのみ熟知していればよいのではなく、社会の事象や現象についても通暁する必要があることからも想起しやすいだろう)。
なお、この文献は、スポーツ社会学におけるドーピングに関する論考として非常に著名である。また、当校では2023年度 早稲田大学スポーツ科学部入試 小論文試験(自己推薦)の正答例としてドーピングを取り上げ論じているので、ぜひ参考にしてほしい。
【3】米村幸太郎の論考:法哲学や公共哲学からのアプローチ
《分析視角②》
マイケル・サンデルによるドーピング反対論の検討を通じて、その卓越主義的国家像に対して批判をくわえている。「理想的な生き方」への陶冶(とうや)というのは、現代思想においてもミシェル・フーコーやドゥルーズ/ガタリが論じた規律社会、管理社会という概念にも接続されるものである。
サンデルについては、埼玉大学 経済学部[後期]一般選抜【小論文解説】で簡単に説明しているので確認しておくことを勧める。
【4】『ドーピングの哲学』:現代思想からのアプローチ
《分析視角③》
課題文が著作権から公開されていないものの、著者はブリュッセル自由大学教授の生命医学にまつわる哲学者のようであるから、【3】で指摘した点は大外れということではないだろう。

つまり、【1】で問題の所在を確定させた(宣言した)うえで、【2】から【4】の異なる分析視角が提示されている。それらの分析視角はドーピングの是非を論じる際に必要となる複層的なパースペクティブである。言い換えれば、「単純に『いい』『悪い』を論じることができないテーマ」に対するアプローチの仕方を示している。
したがって、4つの資料(課題文)に関して、こうしたマッピング(地図作成)をおこない、位置関係を整理したうえで、ドーピング禁止の肯定的な論拠と否定的な論拠を論じなければならない。
これは大学入試小論文の中でかなり高度な部類に入る。京大法学部や名古屋大学法学部、九州大学各学部などの旧帝大とともに、国内でトップのグループに位置づけられる小論文問題である。

文系小論文基本講座

令和4年度
令和3年度
上述で長文となったため、神戸大学法学部を志望する当校受講生には別途、説明することとしたい。
なお、令和4年度課題文のうち、前田健太郎『女性のいない民主主義』は令和5年度名古屋大学法学部[前期]一般選抜の課題文としても採られたものである。左記のその短評もぜひ参考にしてほしい。

※1 参考までに付言しておけば、国公立・私立を問わず、また志望校の難易を問わず、上記の他大学出題解説は役に立つものなので、閲読しておいてください(×「国立だから関係ないや」「私立だから見なくていいか」)
※答案を執筆した際は、出題分析の質の高さが担保された添削講評を受ければ、いわゆる書きっぱなしにならずに済むため、当校ほかで提供している「単発添削」や「講座受講」を活用することを勧めておきます

※2 なお、当校講師は社会情報学、メディア研究で博士課程で修学した経験や私立大学で「情報社会論」の講師を務めた経験があるため、東大情報学環(大学院修士課程)入試や社会科学系大学院修士課程入試の論文指導も可能です

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具体的な対策問題

過去問以外に、どのような問題に取り組むことが小論文対策になるかわからないといった相談の声が寄せられることがあります。
当校では、アドミッションポリシーを分析し、過去問以外で事前に取り組むべき対策問題を選定して提示するほか、時事課題論文については新聞記事から作問して用意するケースもあります。

参考)東大情報学環・お茶の水女子大・一橋大 院試過去問

例えば、東大情報学環(大学院修士課程)入試では、次のように出題される(2020年過去問)。
院試では課題文は与えられないことが一般的です。

以下はお茶の水女子大と一橋大の修士課程の過去問(2023年)。

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