2024年度問題(一般選抜)答案添削・詳細解説
問題 この世からスポーツがなくなったらどうなるか。601字以上1000字以内で論じなさい。
合格者速報(2024年度大学入試)
解説趣旨
早稲田大学スポーツ科学部を目指す受験生に向けて2024年度の小論文問題「この世からスポーツがなくなったら」について解説します。
現時点でこの2024年度問題に対する提出答案を多くみているわけではない状況から、Webで公開されている代々木ゼミナールの解答例を提出答案に見立てたうえで、添削講評を文章で行いながら、詳細に解説します(2024年3月23日現在)。
受験者の方、受験予定者の方はすでに見たことがあるかもしれないものの、以下のURLを貼り付けておきます。
代々木ゼミナール
https://sokuho.yozemi.ac.jp/sokuho/s_mondaitokaitou/1/kaitou/kaitou/1380169_5383.html
※以下の詳細解説は、代々木ゼミナールの解答を手元で見ながら読んでもらうことを想定しています
参考までに述べれば、青山学院大学教育人間科学部の入不二基義教授は、著書『問いを問う―哲学入門講義』(ちくま新書)の中で、自身の論考が2018年度の東北大学前期日程試験国語第一問で出題され、それに対する各予備校による解答例を解説し、論評するというひじょうにユニークな取り組みをおこなっています(「国語入試問題と哲学の交錯」)。駿台予備学校英語科講師から山口大学助教授を経て現職に至っているという経歴を存分に生かしています。当塾では、青山学院大学教育人間科学部を受験する際に、必ず読むことを勧めている小論文対策図書です。
さて、2025年度の早稲田スポ科試験は、小論文試験(50点配点)から、データの読み取りや小論文を含む総合問題試験(100点配点)へと移行することがすでに発表されています。したがって、受験生は総合問題対策をおこなう必要があります。
当塾ではすでに2024年度問題の解答例と解説を書き上げ、storesサイトで頒布するとともに、2025年度総合問題対策のオリジナル対策問題も頒布しています。また、当校[スポ科専科講座]では、その双方をレクチャーしていきます。
出題意図のポイント
細かい点だと思うかもしれないものの、決して見逃すことができない点についても触れておきましょう。
設問では「この世」と記されている一方で、出題意図では「世界」と述べられています。「世」というフレーズは、話し言葉ではよく使われるもののの、論文で用いられることはまずありません。それは「社会」であり、「世界」と用いられます。
設問に示した以上、答案で「この世」という表現を用いても減点対象といったことにはしないだろうものの、当校はやや「ひっかけ」のニュアンスを看取していて、設問文に引きずられずに世界なり社会なり、あるいは人びとなどと言い換えていれば、《論文表現に対する理解》や《論考に対する姿勢》を少なくともプラス要素として採点官に捉えられ、答案の採点が進められたはずだと見立てています。
入試科目と配点の変更
スポ科2025年度入試で、従来の[小論文 50点/90分]から新たに[総合問題 100点/120分]へと科目が変更され、配点が倍増するため、より一層事前対策が重要となります
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※2024年度問題の解答例について1つではなく、合計5種類の書き分けを当校で用意したので、storesサイトでの頒布および当校[スポ科専科講座]受講生に開示していきます(2024年5月~)。2024年度小論文の正答例や2025年総合問題の対策予想問題(スポーツにまつわる複数の資料読み取り問題)は、合格圏内の小論文答案を書けるよう実力を養成するための参考書、教科書の意味合いをもたせています。つまり、用意した問題や正答例からスポ科小論文の書き方を学ぶテキストとしての意味合いをもたせるよう制作しています
では、前置きはこのくらいにしたうえで、Web上でのレクチャーをはじめていきましょう。
答案添削・解説
序文について
論文答案における序文はきわめて重要である。論文は基本的に書き出しで問題意識、問題の背景を述べる。問題意識とは、これから論じていく内容について、「なぜ論じるかといえば、このような問題意識があるからである」と説明することを意味している。問題の背景とは、答案論考が論じる点には「このような問題や課題がある、横たわっている」という俯瞰した視座を示すことを意味している。さらにいえば、論文答案が学問的に、社会的にいわば「孤立無援」「スタンドアローン」で論じられていくものではなく、学問的、社会的な問題系の中に位置していることをアピールするために、問題意識や問題の背景を提示するのである。これは、論文形式のいわゆる作法である。採点者である大学教員自身がそうした形式で論文を生産している。したがって、問題意識や問題の背景が序文で示されていれば、読み手である大学教員を説得しやすい、つまりスタート時点で高得点を生みやすい環境整備をおこなっていることになるとわかるだろう。
速報解答例は、「スポーツがこの世界から消えてしまったらどうなるのだろうか」という書き出しである。確かに、試験直後に問題分析や講評とともに解答例を書き上げた状況に鑑みれば、解答例執筆時間は限られており、こうした設問を復唱する序文もある意味でやむを得ないだろう側面はある。しかし、この序文はただ単に設問を繰り返しているに過ぎない。「だろうか」という疑問形は答案で論じていく《問い》を言い表しているものの、それはすでに設問で示されており、不要な一文とみなせる。そうではなく、設問の「この世からスポーツがなくなったらどうなるか」そのものについて、どのような角度から捉えるのか、見立てるのかを示したい。そして、そうした視角や見立ては問題意識や問題の背景として提示したいのである。
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第一段落
続く文の「スポーツは生産活動ではない… …楽観視する人もいるだろう」および「しかし、私はそのようには考えない」は、上述で用いた通り、主張とその反対意見、わかりやすくいえばいわゆる「YES-BUT法」、つまり対比を駆使している。一般的な社会通念とみなせる意見を示すこと自体に問題はない。しかし、「私はそのようには考えない」は論文におけるNGを示してしまっている。小論文で「私は」は用いない。
【動画目次】
00:00:00 スポ科出題の傾向と対策・2025年度総合問題について
00:02:20 《スポーツを論じる》とは
00:03:25 スポ科小論文対策の必須購読書(赤本推奨書はNG)
00:07:54 大学共通テスト[現代国語]詳細解説&共テで学べる小論文対策
00:14:03 論文とは何か・論文の書き方※講義抜粋
00:16:38 小論文は「私は」と書かない!?作文と論文
00:17:20 論文の基本的な構造
00:17:35 要約の基本
00:18:39 小論文の要諦とNG
00:19:24 小論文のテクニック5選
00:19:50 質疑応答
【動画目次】
00:00:00 OP
00:00:32 答案はどうなっていると減点されるのか?
00:03:35 答案はどうすると加点、高得点になるのか?
00:05:34 スポ科2025年度総合問題で重要なこと
00:06:23 基礎的な考える力
[2024スポ科発表の出題意図]
00:07:33 小論文の採点とはどのようなものか?
00:09:52 主張や指摘は理由や根拠とともに示す
[2024スポ科発表の出題意図]
00:12:06 ターム(単語)の並置
00:12:28 文章技法・三点セット
00:13:50 資料読み取り問題は「特殊」なのか?
00:14:29 カギカッコ~常識を疑う
00:14:52 スポーツをカギカッコに入れる?つまり「この世からスポーツがなくなったら…」
【動画目次】
00:00:00 OP
00:00:21 スポ科専願の理由
00:03:50 大学共通テスト得点状況
00:05:41 講座受講時の提出答案と添削状況
00:06:21 試験直前答案のピンチとは!?
00:07:38 講座内予想問題と本番試験
00:09:34 2024年度問題「この世からスポーツがなくなったら」
00:10:39 合格のポイント1
00:12:55 合格のポイント2
00:15:36 小論文のポイント1
00:16:27 スポ科答案論文のポイント
00:19:06 当校の見立てるスポ科答案採点基準
00:21:07 大学入学後にやりたいこと‼
00:23:18 合格後の小論文に関する感想
00:24:49 小論文のポイント2
00:25:30 小論文試験が課される理由
00:26:20 当校講座受講のメリットと内容水準
00:27:10 ご家族の合格の喜び
00:27:45 合格のポイントまとめ
00:28:56 合格のポイント再まとめ
00:29:22 合格の実感は?
当塾の受講生も、レクチャー当初、文の始まりに「私は」と書いた答案を提出してくる。端的にいえば、小論文と作文との違いを理解しているか否かということである。詳しくは、当校HPの解説「小論文の書き方」の中の「小論文と作文の違い」や「周南公立大 学校推薦選抜&総合型選抜&一般選抜【小論文解説】」の中の「採点者である大学教員に「?」と感じさせた項目」を参照してほしい。
「私はそのようには考えない」の根拠を示す際に、「というのも、」と記している。もしこの答案提出があれば、即座に「なぜなら、」と添削赤字を入れる。かなり小論文を書き慣れて大学入学後を見据えた地点まで実力が向上していれば、赤字として指摘しないだろうものの、主張に続く根拠の提示は「なぜなら、」と置いてまず間違いはない。なぜなら、接続詞は読み手である採点者の大学教員に対するいわばサインだからである。わかりやくいえば、「これから根拠を示します」と知らせているのである。
そして、「スポーツには人間の他の営為にはない固有の価値があると考えるからである」とこの解答例ならではの論点が示される。スポーツには「固有の価値」があるという論点はひじょうに重要で、
- 「ではなぜ『固有の価値』があるといえるのか」という根拠の議論、
- 「そもそもスポーツの『固有の価値』とは何を指しているのか」
- 「例えば文化や芸術にはないスポーツならではの価値とは何なのか、それはどのような特徴があるのか、共通点や相違点はどのようなものか」
というスポーツ諸科学にとっての根本問題に関する検討が展開されると読み手である採点官は想定する。
(さらにいえば、スポーツ自己推薦入試でそうした質問が面接でなされたようである)
https://kuberu-ac.com/apply-soukei/apply-waseda-sps/)
解答例はそうした問題系をすぐに議論する前に、「スポーツの概念は時代によって様々に変化するが」と弁明、エクスキューズを記している。いわば「さらっ」とスポーツ概念の歴史的変遷を流してしまっているものの、それこそがスポーツ固有の価値と結びついている点に解答例はどこまで自覚的なのかわからない。なぜなら、スポーツの定義づけに移ってしまっているからである。昨年2023年度の出題においても「退屈の意味」を論じるよう要請された際に、答案論文で論じていく「退屈」とはどのようなものであるのか定義づけることで、採点官との共通了解を作ることは重要であった。
他方で、ここでおこなったスポーツの定義づけはどれほどこの第一段落のみならず論全体にとって論理的な重要性があるのかが当校にはわからない。しかも、「ダンスや武道、登山などはスポーツに含まれる」としているものの、例えばそのうち武道はスポーツなのかというスポーツ社会学などにおける議論の対象が特に根拠や検討が示されることもなく、置かれている点に疑問を感じた。スポーツ社会学で例えば「相撲はスポーツなのか」は重要なテーマの一つである。したがって、「テーブルゲーム」例えば将棋はスポーツなのか伝統芸能あるいは盤上競技なのかという点は、議論が必要な重要テーマであり、「楽器の演奏」つまり音楽とスポーツの共通点と相違点は何なのかというスポーツ固有の価値をめぐる問題系にこのスポーツの定義づけは接続してしまっている。つまり、1000字という短い制限字数の条件のもとで、提示した文章の何を論じて、論じずに採点者と受験者との前提とするのかという分水嶺をどこで見きわめるのかに関してこの解答例は考察する材料として公開されているとも捉えられる。
当校の見立てでは、この第一段落におけるスポーツの定義づけと以降の第二、三、四段落の議論との接続はもう一歩というのが率直な印象である。スポーツの定義を示すのであれば、その検討や根拠の提示がどうしても必要になると同時に、その定義づけをおこなう論全体を通した論理的な妥当性が求められる。その妥当性が解答例は弱いように思う。
合格者の声(2024年度大学入試)
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第二段落
「それではスポーツ固有の価値とは何か」で始まる。当校であれば必ずこの一文に添削を入れる。なぜなら、「それではスポーツ固有の価値とは何か」と問うこと自体を論じてほしいのである。当校受講生でも、こうした例えるならば道先案内文、「いまからこれについて論じていきます」「次に行く場所は〇〇です」といった旅行ガイドをおこなう提出答案は多い。当校ではわかりやすく「自己指示文は不要!」と赤字を入れる。おそらく「それではスポーツ固有の価値とは何か」といったような、自身で自身を誘導する文章を置くと、安心するのではないかと思われる。
他方で、学術論文においてこうした《問い》を疑問形で示すことはよくみられる。それは学問のプロとして《問い》を明示する技法である一方、1000字といった短い制限字数ではなく、博士論文や著作論考でみられるものである。つまり、大学入試小論文の短い制限字数でそうした道先案内文、自己指示文を書き記している余裕はないというのが当校の見立てである。したがって、不要であり、「それではスポーツ固有の価値とは何か」と問うこと自体を説明してほしいのである。
当校であれば「我が国」は日本、「国民」は市民と添削では示し、「健康と体力の維持」がきわめて重要だという論点を際立たせるよう助言するところである。「生産活動」は第一段落冒頭に呼応することを企図していると思われるが、どこかしら労働laborや仕事workは何かを生産する活動actionである一方、運動やスポーツは非生産的であるようなニュアンスが感じられる。ここでは紙幅の都合から深入りできないが、現代を代表する哲学者ハンナ・アーレントの『人間の条件』における労働labor・仕事work・活動actionの議論を背景としながら、それらがいわばごちゃごちゃに混然となった表現として「生産活動」を用いているように感じる。なぜ「生産活動」は就労ではだめなのか。生産は経済学の重要テーマであり、その議論やツッコミを避けるためにも一般的な用語であるデスクワークを用いているのだから、就労にしたほうが安全だろうと思われる。
また、「我々は常日頃」という記述は、「私は」を論文で用いないように「我々は」も論文で使われない。どうしても主語を置きたければ「人びとは」としたほうがいい(なお、大学発表の出題意図の冒頭に「我々現代人は」と置かれている。これはあくまでも出題意図の解説文であって論文、論考ではないことを付記しておこう)。さらに現代人のカロリー過剰摂取がさまざまな疾病の原因として指摘されたのちに「運動を自発的に続けるためには多くの場合技能の向上を実感できる必要がある」と述べている。実はスポーツにおける内発的動機付けは、2019年度の北九州市立大学文学部人間関係学科で三つの短い課題文のうちの一つとして英文が出題されている。
(参考までに紹介すると、為末大によるスポーツにおける体罰に関する検討および玉木正之『スポーツ解体新書』の二つの日本語文とともに課題文として採られた。そして、三つの設問のうち問2で「スポーツにおける内発的動機付け」とはなにか、さらに外発的動機付けに対してどのように優れているか説明せよと出題された)。その出題で説明された、運動を自発的に続けるための内発的動機付けは、他者とともに運動に取り組むことの楽しさが強調されている。一方の運動の結果や成果にこだわる外発的動機付けに比して、内発的動機付けは長期間にわたる運動の実践や実施を可能にする点で優れていると指摘されている。したがって、「多くの場合技能の向上を実感できる必要がある」という経験的な記述は、それこそ多くの人が「そうだな」と納得しそうではあるものの、他者とともに運動に取り組むことの楽しさの得られる内発的動機付けのほうがスポーツ科学部の大学教員に対する論理的な説得性は高いだろう)
第二段落の最終文で「つまり、スポーツがこの世界からなくなってしまえば、日本をはじめとする先進国では生活習慣病の患者が増加し、社会全体の医療費が増大すると予測される」という指摘はひじょうに的確で重要な論点を示している。例えば、有酸素運動は脂肪燃焼に効果的な運動であり、それを実施することで肥満防止や生活習慣病予防に効果的だというのが運動生理学の知見である。さらにスポーツの喪失は、社会全体にとっての医療費増大につながるという社会的な視点へと接続して展開し、示している点はひじょうによいと評価できる。
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第三段落
段落冒頭で「スポーツが技能の向上を目的とする以上、」と置くことができるのは、本解答例の第一段落においてスポーツを定義づけたからだということではある。しかしながら、これ以降の論の展開にも関わることであるが、このスポーツの定義づけが妥当か否かは検討の対象である。つまり、スポーツは技能向上だけが目的ではないという反駁やツッコミを採点官から食らう可能性はある。なぜなら、解答例はスポーツを通じた健康体力維持にくわえ運動機能強化をスポーツの役割や意義として示しており、それ自体は論の展開として問題はない一方で、スポーツの目的を技能向上とするならば、以降で述べられた健康維持増進や運動機能強化との論理的な整合性に疑問符がつきかねない。わかりやすく繰り返せば、例えば健康の維持増進を企図してスポーツや運動に取り組む人びとのなかで、スポーツや運動における技能向上を必ずしも目的としていないケースが経験的に想起される。だとすれば、「人間が身体技能を高めることを目的として自らの身体全体を動かす活動」というスポーツに関する定義づけに論理的な瑕疵があるとスポ科教員からみなされる可能性が否定できない。
当校は、スポーツ科学部による小論文の採点基準はきわめて厳しく、「辛い」と見立てている。なぜなら、50点満点で小論文の平均点が例えば2023年度の23点であったということは、多くの受験生答案は100点満点でいうところの50点に満たなかったことを意味しているからである。ひじょうに厳しい採点基準が設けられていると想定される。そうした前提に立てば、この答案添削・詳細解説が、ただ単に解答例に対するいわば「後出しジャンケンの文句つけ」としてではなく、大学採点基準想定での添削講評の指摘をおこなっている点が理解できると思う。
段落最終文で「もし、スポーツがこの世から失われれば、機能障害を抱える高齢者が今よりも増え、やはり医療費の増大が起きると考えられる」と第二段落の最終文とほぼ同じような段落の結論を解答例は示している。指摘している点そのものは妥当である。とはいえ、前段落の議論を繰り返し述べるのではなく、さらに最終段落へ向けて考察を深めることが求められる。その点で、解答例は物足りない。例えば、字数に拠らず文例を示すとすれば次の通りである。
修正文例
もし、スポーツがこの世から失われれば、高齢者のみならず児童、学生のほか市民全体の健康や体力の維持、増進とともに精神的充足の獲得を通じた身体、精神の豊かな生活を日常の中で営む意義と重要性が喪失された状況を迎えるだろう/と捉えられる。
これは、速報解答例が基本的に現代日本における政府によるスポーツ行政施策、法令を論考のベースに据えたうえで記述されているだろう点に沿うことを企図している。具体的には例えば、健康増進法やスポーツ基本法といった法令である。
2025年度のスポ科受験生への紙面講義をおこなうとすれば、スポーツ基本法は平成23(2011)年に公布、施行された法令である。省庁のサイトリンクを貼っておくので、一読し、ノートに要点をまとめておくことをぜひ勧めておこう。また、文例で「高齢者のみならず児童、学生のほか」と示したのは、スポーツ庁サイトで室伏長官が「『子供の体力向上企画』~体力テスト編『力を引き出す』ウォーミングアップ動画」といった情報発信をしている通り、「小中学生の体力低下」も社会的な問題、課題となりつつある状況にあるからである。つまり、健康や体力の維持増進は、高齢者に限られたテーマなのではなく、児童や学生を含めた市民全体が対象されるイシューであると示せば、論がさらに深まっただろう。当塾受講生にも答案水準を高める際に、それまで論じてきた内容を反復するのではなく、俯瞰した視点からより一層深く論を掘り下げる覚悟と気合、実力を携えるよう伝えている次第である。
健康増進法
厚生労働省サイト https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=78aa3837&dataType=0&pageNo=1
スポーツ基本法
文部科学省サイト https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/kihonhou/
スポーツ庁サイト https://www.mext.go.jp/sports/
「子供の体力向上企画」~ 体力テスト編 ~ 室伏長官による「力を引き出す」ウォーミングアップ動画https://www.mext.go.jp/sports/b_menu/sports/mcatetop04/list/1371915_00001.htm
☞2024年度一般入試の当校正答例については、別途本HPで公開することを検討中です(2024年3月23日現在)。
第四段落
段落文頭の「以上のように」は、「したがって」にすべきである。相当書き慣れたうえで、いわば「自由自在に出題されたテーマを調理できる」力がつけば、接続詞にもテクニックをほどこす高等戦術を駆使することも可能になる。とはいえ、あくまで大学入試小論文であることに鑑みれば、ここは「したがって」のほうがディスコースマーカーの提示としても適切かつ的確だろう。
続く「スポーツには健康の維持と運動機能の強化という意義があるため」という記述は、「あるため」と書き記すことで(A)スポーツの健康維持と運動機能強化を原因として、スポーツの喪失を通じて(B)「人々の健康が著しく損なわれる」という結果の二項関係を提示している。この(A)と(B)の二項関係は論理的に妥当である。しがたって問題はない。しかしここで受験生に伝えておきたいのは、(A)と(B)という二項関係を記す際に、それらが因果関係なのか相互関係なのかについて無自覚に記述してしまうことがよくあるという点である。当校受講生には、こうした二項関係のほか、いくつかの小論文の「テクニック」を文書で配布し、答案をより一層論文らしく「見せる」ための技法をレクチャーしている。最終段落の文章を活かしつつ添削すれば次の通りである。
修正文例
したがって、スポーツには健康の維持と運動機能の強化という機能と意義があり、もしスポーツがこの世からなくなってしまったならば、人びとの心身ともに健康が著しく損なわれる事態を招くと指摘できる。
「私の結論」は明確に不要な表現、フレーズである。なぜ、小論文で「私は」と書かないのかその理由について受講生に講義で説明している。その一部はYouTubeで公開している。https://youtu.be/CTkN8DKahZw?t=998
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グラフ・図表読み取り問題に関して大学教員へ特別取材(2024年6月インタビュー実施)
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早稲田大学博士課程出身講師2名―
- 日本スポーツ産業学会の研究チームに所属経験を持つ講師(国立大学附属中高出身)
- 現役のスポ科博士課程所属講師(聖光学院出身)
による大学院水準の精密で高度な分析、検討、議論から、
受験生が
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《スポ科の教授たちはこういうことを総合問題・小論文で訊きたいと考えている》
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対策問題・予想問題は、2021年度にスポ科における研究からの出題があったこと(※)、2025年度総合問題のサンプル問題でスポーツ科学全般に関する意見記述があったことをふまえ、スポーツ科学部の研究動向を深く分析したうえで、効果的で有益な対策となるよう作問しています。
※スポーツに関するある割合:赤本の正答例は問題分析が不十分で、出題の意図を見通せておらず、それが書かれていません。左記の当校サイトリンクで説明しています
過去問+対策問・予想問への取り組み
過去問3題の小論文問題とともに、出題が予定される図表読み取り問題に取り組み、
1カ月コースは過去問3題+対策問2題の計5題、
2カ月コースは過去問3題+対策問4題の計7題
の答案執筆・添削講評で合格を手にしましょう。
赤本正答例は例えば2021年度の出題について、近代オリンピックに参加した選手総数の男女比として記述しています。これは正答例として問題ないものの、大学のメッセージはスポ科の最新研究動向に目を配っておくようにというものであり、出題意図や大学側が求めている小論文対策を見通せていないと指摘できます。つまり、着実に合格するために赤本ではスポ科小論文対策として決して十分とはいえないと捉えられます。
2024年度スポーツ自己推薦入試の面接において「文化には音楽、芸術があります。一方で、スポーツにしかない特性を論じてください」「音楽も人種を超えて様々な人が演奏、協奏します。では、音楽とスポーツとはどのような点で異なると考えますか」といった質問がなされています。
2023年度入試問題の正答例序文でスポーツと文化芸術についてすでに示していた点からもぜひ当校の正答例、問題分析力、講座内容に注目ください。
初年度の総合問題出題に対する不安を払拭し、合格へ!
参照:早稲田大学スポーツ科学部HP「学科・コース」(2023年12月18日閲覧)
想定スケジュール(1ヵ月・2か月コース)
なぜ、他教科と同じように早めに対策を開始する必要があるのかについて、講義に先立ってオンライン面談にて説明します。
※他教科の学習進捗などに鑑みながら、各受講者の状況に応じて柔軟にスケジュール変更の対応をしていきます
※上記はあくまでも大まかな目安です
早慶専科[総合型選抜]
早稲田スポ科スポーツ推薦(試験日:11月初旬)
早慶専科[一般選抜]
早稲田スポ科一般選抜(試験日:2月下旬)
過去問の正答例(および添削例)
※以下のリンク(画像クリック)
2023年度問題[一般選抜]正答例
2022年度問題[一般選抜]正答例
2021年度問題[一般選抜]出題分析
2023年度問題[自己推薦]正答例
2024年度スポーツ自己推薦合格者
小論文対策を行うにあたり、自己推薦選抜、一般選抜の双方ともチェックしておく必要があります。
なぜなら、わかりやすく言って、小論文に関して「自己推薦だからこの問題を出題しよう」「一般選抜向けにはこの問題を出そう」という切り分けをしているとは考えにくいからです(推薦入試の面接においては、競技歴などに応じた質問が個別になされる一方で、小論文に関して自己推薦/一般選抜の弁別はなされていないと思われます)。
双方の出題ともスポ科教員が「こうした小論文設問を出せば、入学の適性を測ることができる」と想定していると捉えたほうが自然です。
合格者の声(2024年度大学入試)
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国公立大学の出題傾向分析にも精通
スポ科2023年度問題を例にとって《そもそも小論文とはなにか?》《受かる小論文を書くためにはなにが重要なのか?》について概説
2022年度問題(一般選抜)正答例・添削例
2021年度問題(一般選抜)分析
出題された問題から、受験生に《どのような背景知識や能力》を求めていると考えられるのかについて、早慶専科講座の案内文のなかで説明しています。
2023年度問題(自己推薦)正答例・添削例
提出答案を活かした正答例はこちら
問題用紙・解答用紙(pdf)https://www.waseda.jp/inst/admission/assets/uploads/2023/04/20_2023_ippan_shoronbun.pdf
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