お茶の水女子大学 文教育学部[後期]一般選抜 小論文の概要と傾向
小論文試験は、
①高校で「小論文」といった授業科目が設定されておらず、
②また、「小論文」という高校教科書があるのでもなく、
③高校で「小論文の書き方」を教わった経験のない人も多い、
④そして、正答例を「なんとなく『眺める』」だけで、実力が自ずと向上するわけでもない
いわば「ないない尽くし」のなかで学習を進める対策が難しい科目です。
本番の試験で着実に高得点を取るには、
①論文とはそもそも何か
②論文のルール、作法、構造とはいかなるものか
③論理的思考力、表現力、読解力をどのように培うか
④図表読み取り問題で問われる《情報の取り出し》《解釈》《評価》
について理解したうえで、的確に対策と実践演習を進める必要があります。
合格者の声(2025年度大学入試)
試験の概要
出題形式:
※大学HPで過去問公開
配点:100/100
時間:
出題の傾向
難易度:難
【ポイント】
日本国内の大学入試小論文として、その難度は以下の通り、トップに位置するものだろう。難関大学の小論文試験が受験者に求めている基準は明瞭で、大学水準の知識を先取りし、学問における批判的な考察とはどのようなものかを理解していなければ、課題文や設問に対峙できない。その意味で、きわめて真っ当な良問が出題されている。
令和5年度
ジョン・ロールズの『正義論』について、齊藤純一らが読み解いた論考が課題文に採用された。
齊藤純一は早稲田大学教授で「公共哲学」の論客として知られる。岩波書店から刊行されている「公共性」など初学者に向けたテキストは多くの大学生に読まれる。この書籍は難関国公立・私立大学の小論文対策としてきわめて有用である。
ロールズは、いわずもがな政治哲学や社会哲学で外すことのできない重要論者である。ロールズを知らない社会科学系の大学教員はいないといってよい。慶応文でも2022年度にロールズは出題されている(詳しくは左記リンク)。難関大学受験生にとっては必ず知っておかねばならない思想家である(概略を欄外に示した)。
ロールズは、一言で言うならば、公正としての正義、正義に適っている社会制度とはなにか、それはいかにして正当化されるのかを論じた。
正義の二原理
第一の原理「基本的な権利と義務の割り当ての平等」
第二の原理「社会的、経済的不平等は、例えば、富と権威の不平等は、全ての人、殊に最も不利な立場にある社会構成員の便益を結果として補整するならばその時にのみ、正義に適う」
に対する理解とその記述には高水準の能力が求められる。
また、出題意図にある通り、現実社会・社会現実に対する批判的な(反省的な)検討についても、大学水準の学習を先取りした能力が必要である。
当校はそれに即した小論文指導が可能である。
※そもそも学術における批判的検討の意味を理解する必要がある。なお、お茶の水女子大学文教育学部を受験しようという学生は当然理解しているとは思うものの、学術でいう批判とは一般社会で広く流通している批判とは意味合いが異なる。つまり、わかりやすく例示するならば、匿名掲示板「2ちゃんねる」開設者による「論破」や「批判」なるものは、学術における批判とはまったく異なることを付記しておこう。学問に求められる根本的姿勢ともいえる批判は、もちろん「文句をつける」ことではあるが、徹底的に相手の論考や思考を把握し、相手以上に相手のそれを理解したうえで、見逃している点、暗黙に前提してしまっている点、暗に言及してしまっている点をめぐって戦いを挑む、論戦を交わすことを意味している。論敵自身よりもその論敵の論考や思考を見通す以上、そこにはある意味で相手の実力や腕力に対する《敬意》のようなものが介在せざるを得ない。トップになればなるほど、自身にふさわしい水準の論敵を設定する。
例えば、現代を代表する思想家、社会哲学者、いわば西の横綱J.ハーバーマスと東の小結N.ルーマンとの論戦はつとに有名である。ハーバーマス・ルーマン論争と呼ばれ、《批判理論 vs 社会システム理論》の様相を呈した。東の大横綱が西の新進気鋭小結の批判に対して敬意をもって応接した《美しき事例》である。
漠然としているかもしれないが、設問の出題意図で開示されている「現実社会・社会現実に対する批判的な検討」は、こうした学術における批判というものに対する概略的な理解を前提している点で大学入試小論文問題として高水準と捉えられるのである。
令和4年度
岩渕功一の『多様性との対話』から課題文は採られた。
岩渕功一は、早稲田から海外の大学へ転出した社会学者である。メディア研究におけるカルチュラル・スタディーズで重要な論考をいくつも発表している。グローバリゼーションの中での文化研究で第一人者といってもよいだろう。令和5年の齊藤純一らのロールズ解題と同様、第一級の論者による本格的な論考である。
グローバリゼーションやそうした状況における多様性については、以下の【中央大学 国際経営学部】2023年度 小論文解説・正答例などを参照し、学習を進めてほしい。
ここでも問われているのは、批判的検討である。これができなければ、日本国内でトップのお茶の水女子大による小論文出題には対峙できない。
令和3年度
内閣府の白書が出典とされた。こうした、いわば安定的な資料が出題資料として採用され、その読み取りができることも大学は求めている。白書である以上、データの読み取り自体は難しいわけではない。むしろ、こうした資料から読み取れることに基づきながら、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という価値観や考え方がどのような社会的、文化的背景の中で変化していったのか、生産年齢人口の就業率や非正規雇用労働者の割合の推移とどのような関係にあるのかについて、的確かつクリティカルに(批判的に)立論する能力が問われている。
最終的に、考察として「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という、ミシェル・フーコーが論じた「エピステーメー」としての社会規範はどのように問い直され得るのかを論じることが一例として挙げられる。
(なお、「エピステーメー」については、令和4年度群馬大学 情報学部[後期・A配点/小論文重視型]一般選抜の課題文でも論じられている。左記とともに以下にもリンクを貼り付けておく)
※なお、当校講師は社会情報学、メディア研究で博士課程で修学した経験や私立大学で「情報社会論」の講師を務めた経験もあるため、東大情報学環(大学院修士課程)入試や社会科学系大学院修士課程入試の論文指導も可能です
20世紀を代表する社会哲学者の一人。米国メリーランド州ボルチモアに生まれ、43年プリンストン大学を卒業後、アメリカ陸軍に入隊。ニューギニア、フィリピンを転戦し、占領軍の一員として日本の地を踏む。除隊後、同大学の大学院に進み、50年、博士号取得。62年、ハーバード大学哲学教授。71年に主著『正義論』を公刊。 ロック、ルソー、カントと続く社会契約説の伝統に依拠するロールズは、社会を「ましな暮らし向きの対等な分かち合いを目指す、協働の冒険的企て」と見なすところから考察をスタートさせる。そして、同書最終章の第79節になると、「自由な諸制度によって引き出された互いの卓越や個性を成員たちが享受しあう、人間共同体」(社会的な結合態social union)という社会の理想像が描き出される。
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【正答例・詳細解説】受験に際して知っておきたい背景知識・関連知識・重要論者を読んで学べる!お茶の水女子大文教育学部人文科学科[後期]2023年度小論文問題
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【動画目次】
00:00:00 スポ科出題の傾向と対策・2025年度総合問題について
00:02:20 《スポーツを論じる》とは
00:03:25 スポ科小論文対策の必須購読書(赤本推奨書はNG)
00:07:54 大学共通テスト[現代国語]詳細解説&共テで学べる小論文対策
00:14:03 論文とは何か・論文の書き方※講義抜粋
00:16:38 小論文は「私は」と書かない!?作文と論文
00:17:20 論文の基本的な構造
00:17:35 要約の基本
00:18:39 小論文の要諦とNG
00:19:24 小論文のテクニック5選
00:19:50 質疑応答
【動画目次】
00:00:00 OP
00:00:32 答案はどうなっていると減点されるのか?
00:03:35 答案はどうすると加点、高得点になるのか?
00:05:34 スポ科2025年度総合問題で重要なこと
00:06:23 基礎的な考える力
[2024スポ科発表の出題意図]
00:07:33 小論文の採点とはどのようなものか?
00:09:52 主張や指摘は理由や根拠とともに示す
[2024スポ科発表の出題意図]
00:12:06 ターム(単語)の並置
00:12:28 文章技法・三点セット
00:13:50 資料読み取り問題は「特殊」なのか?
00:14:29 カギカッコ~常識を疑う
00:14:52 スポーツをカギカッコに入れる?つまり「この世からスポーツがなくなったら…」
【動画目次】
00:00:00 OP
00:00:21 スポ科専願の理由
00:03:50 大学共通テスト得点状況
00:05:41 講座受講時の提出答案と添削状況
00:06:21 試験直前答案のピンチとは!?
00:07:38 講座内予想問題と本番試験
00:09:34 2024年度問題「この世からスポーツがなくなったら」
00:10:39 合格のポイント1
00:12:55 合格のポイント2
00:15:36 小論文のポイント1
00:16:27 スポ科答案論文のポイント
00:19:06 当校の見立てるスポ科答案採点基準
00:21:07 大学入学後にやりたいこと‼
00:23:18 合格後の小論文に関する感想
00:24:49 小論文のポイント2
00:25:30 小論文試験が課される理由
00:26:20 当校講座受講のメリットと内容水準
00:27:10 ご家族の合格の喜び
00:27:45 合格のポイントまとめ
00:28:56 合格のポイント再まとめ
00:29:22 合格の実感は?
講座・コース群 ※受講申込受付中
精度の高い分析に基づいた小論文対策で志望校合格へ
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総合型選抜
小論文対策にくわえて志望書添削・面接練習・対策も行いたい方向け
一般選抜
難関中堅国公立・私立大学の小論文対策を着実に行いたい方向け
時期や要望に応じた講座・コース群 ※受講申込受付中
総合型選抜、学校推薦選抜の入試が始まり、いよいよ受験「本番」に向けた学習に力を振り向ける時期に入りました。「小論文は、副科目」と準備を後回しにしてしまうと、「早めにやっておくべきだった…」と直前期に後悔することになりかねません。受験に打ち勝つためには冬を迎える前の準備開始が重要です。本格的な小論文対策を始めましょう。
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【1カ月コース】
※直前対策
直前期に短期間で高い精度の準備をしたい人へ!
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【2カ月コース】
※早期対策
秋から小論文対策をスタートさせた受講生がいます!
↑2カ月前ころから準備を開始しておいて、焦らずにアドバンテージをとりたい人向け
【3カ月コース】
※早期対策
昨年1点差で惜しくも涙をのんだ既卒生も受講中!
↑3か月前ころから着実に準備を開始し、他の受験生に圧倒的な差をつけたい人向け
【4カ月コース】
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読み、書く力がグンと上がった現役生が受講中!
↑小論文は「書いたことがない」、でも来年初には小論文対策を完成させたい人向け
基本講座
国公立二次対策も
※専科講座以外の大学学部
※総合型選抜&一般選抜
※1・2・3・4カ月コース
ハイレベル講座
難関国公立・早慶向け
※難関国公立・早慶向け
※総合型選抜&一般選抜
※1カ月コース
早慶専科
一般選抜・総合型選抜
※早慶各学部全般
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※1・2・3・4カ月コース
スポ科専科
一般選抜・総合型選抜
※2025年度総合問題対策
※スポーツ推薦選抜&一般選抜
※1・2・3・4カ月コース
慶応文専科
一般選抜・総合型選抜
※難度の高い小論文対策
※自己応募推薦&一般選抜
※1・2・3・4カ月コース
学芸大専科
一般選抜・総合型選抜
※各学類・コースに対応
※学校推薦型選抜&一般選抜
※1・2・3・4カ月コース
※各講座・コースとも受講人数に限りがあるため、お申し込み先着順となりますこと予めご了承ください
具体的な対策問題
過去問以外に、どのような問題に取り組むことが小論文対策になるかわからないといった相談の声が寄せられることがあります。
当校では、アドミッションポリシーを分析し、過去問以外で事前に取り組むべき対策問題を選定して提示するほか、時事課題論文については新聞記事から作問して用意するケースもあります。
参考)東大情報学環・お茶の水女子大・一橋大 院試過去問
例えば、東大情報学環(大学院修士課程)入試では、次のように出題される(2020年過去問)。
院試では課題文は与えられないことが一般的です。
以下はお茶の水女子大と一橋大の修士課程の過去問(2023年)。
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