立教大学社会学部 自由選抜入試(自考力入試) 概要と解説
入試の特徴
立教大学社会学部の「自考力入試」は、ひじょうにユニークな試験形式を取り入れている。
一次選考
一次選考は、「調査書、志望理由書とともに自由研究の成果物により評価」する旨が謳われている。もちろんこの入試の特色は「自由研究」にある。各学科で大まかにテーマが決められているが、要するに現代社会と文化、メディアに関する自主研究が「自考力入試」の眼目である。
二次選考
二次選考でその自主研究について口頭発表をおこなう(面接試験)。それと同時に小論文試験が課されている。
二次選考のプレゼンテーションは、社会学系、メディア学系の大学院修士課程入試を想起させる。口頭発表は5分、質疑応答が10分と示されている。当校代表講師も大学院入試で自身の研究計画に関する口頭試問を受けたことがある。また、学会発表の際は、「自考力入試」で示されている「研究の背景・目的・方法」および「研究の結果と考察」を論文にまとめて提出したうえで、発表スライドを作成し、口頭で発表した経験がある。
特徴のまとめ
そうした意味では、修士課程や博士課程に近い、あるいはそのミニチュア版という印象がある。とはいえ、高校において探求学習、総合的な学習が進められている点からは、一概にマスターやドクターに近いともいえないのかもしれない。いずれにせよ、大学入学後を見据えた入試であることは間違いないだろう。また、一定以上の学力をもつ高校生のうち、現代社会に関する「研究」が得意という特色ある生徒を受け入れようという試みでもある。入試が多様化するなかで注目すべき選抜方式である。
なぜなら、いわゆる過去問に取り掛かることやその出題傾向をそれこそ研究することは、この試験方式ではほとんど意味をなさないだろうからである。そうではなく、「自らが着想し、調査・研究して考察・分析」すること、「他の本などに書いてあることを正解として発表するのではなく、自分自身の意見を明確に発表」することが重要視されている。一般入試とは大きく異なる点できわめてユニークである。
受験倍率
しかし、受験生としては、自由研究もその口頭発表も小論文答案も内容を採点、点数化され、合否が決まるという点を意識せざるを得ないだろう。倍率は次の通り、決して低いものではなく、むしろ高いといえるだろうからである。
2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | |
社会学科 | 10.5倍 | 10.6倍 | 19.2倍 |
現代文化学科 | 10.2倍 | 8.2倍 | 16.5倍 |
メディア社会学科 | 8.5倍 | 9.1倍 | 14.4倍 |
合格するために必要なこと
では、合格を手繰り寄せるためには、どうすればよいのかといえば、次の二点に集約されるだろう。
第一に、報告書、研究報告書のみならず研究、論文とは何なのか、どういうものなのかということ自体に対する理解がきわめて重要である。前述の通り、「研究の背景・目的・方法」および「研究の結果と考察」を示すのが研究の「型」であることを知っていなければ、口頭発表の体をなさないだろう。どのようなテーマを選び出すのか、そのテーマをどうやって調査するのか、調査方法はどのようなものとするのか、それは論理的に妥当なのかが問われる。
第二に、調査を進めたうえでその結果をどのように評価するのか、なにを基準や典拠にしながら分析するのかにも論理的妥当性が求められる。導き出した結論は、考察として示唆に富むものであるか、独りよがりなものでないのか、調査を通じて明らかになったことと明らかにならなかったことを整理して示せているか、その論証が照らし出したこととは何なのか、論証すると設定したテーマを再度考えればどのようなことがみえてくるのか、なにが課題として残ったのか、研究に関する今後の方針もコンパクトに示す必要がある。
当校では、早稲田大学院博士課程出身の講師陣による、研究計画立案から口頭発表資料の指導のみならず、プレゼンテーションに対するアドバイスやレクチャーを提供することができます。また、社会、文化、メディアに関するオンライン講義を用意していると同時に、立教大学社会学部の試験対策にふさわしい小論文問題の提供とその添削指導をおこなうことも可能です。
※インタビュー冒頭部分(約9分)
※カフェでの取材だったため、周囲の音が入っていることを予め了解下さい
レクチャーの方針
ただ単なる大学受験対策というよりも知的好奇心を満たしながらいかに大学水準の人文社会科学を先取りした内容をレクチャーするかに注力することになります。博士課程出身者による学会発表、論文執筆の経験をふまえた実践的な指導をおこないます。
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- 当校受講生の合格者の声(⑥)
を以下のリンクからみることができます。
大学入試の小論文解説・正答例&Web講義
具体的な対策問題
過去問以外に、どのような問題に取り組むことが小論文対策になるかわからないといった相談の声が寄せられることがあります。
当校では、アドミッションポリシーを分析し、過去問以外で事前に取り組むべき対策問題を選定して提示するほか、時事課題論文については新聞記事から作問して用意するケースもあります。
参考)東大情報学環・お茶の水女子大・一橋大 院試過去問
例えば、東大情報学環(大学院修士課程)入試では、次のように出題される(2020年過去問)。
院試では課題文は与えられないことが一般的です。
以下はお茶の水女子大と一橋大の修士課程の過去問(2023年)。
※1 参考までに付言しておけば、国公立・私立を問わず、また志望校の難易を問わず、上記の他大学出題解説は役に立つものなので、閲読しておいてください(×「国立だから関係ないや」「私立だから見なくていいか」)
※答案を執筆した際は、出題分析の質の高さが担保された添削講評を受ければ、いわゆる「書きっぱなし」にならずに済むため、当校ほかで提供している「単発添削」や「講座受講」を活用することを勧めておきます
※2 なお、当校講師は社会情報学、メディア研究で博士課程で修学した経験や私立大学で「情報社会論」の講師を務めた経験があるため、東大情報学環(大学院修士課程)入試や社会科学系大学院修士課程入試の論文指導も可能です
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