東京都立大学法学部[後期日程]一般選抜【小論文解説】

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東京都立大学法学部[後期日程]一般選抜 小論文の概要と傾向

早稲田大学院博士課程出身講師がレクチャー
多数の作文・小論文・大学生レポートを採点。雑誌寄稿、論文執筆の経験

出題解説

2023・2022年度出題分析

 受験生は、推奨せずともそうするであろうにせよ、過去問を数年分見渡してほしい。例えば、2023年度2022年度の出題をセットにして問題の傾向と対策、出題の意図を検討すれば、その2年の出題はコントラストをなしているとわかるはずである。

 一方は、マイケル・サンデル(ハーバード大学)による現代社会における競争の公正さをどのように捉えればよいのかという現代正義論、もう一方は蟹江憲史(慶応大学SFC)による現代経済における企業とSDGs、そして地球環境問題や後景化された貧困と格差などの諸課題をどう考えればよいのかという現代の持続可能性をめぐる議論に関する課題文が採られている。

マイケル・サンデル

 サンデルはご承知の通り、「ハーバード白熱教室」で人口に膾炙した政治哲学者であり、大学入試小論文に頻出の論者である。『実力も運のうち―能力主義は正義か?』はこの東京都立大学のみならず、埼玉大学経済学部(後期2023年度)などでも課題文として出題されている。つまり、法学部や経済学部といった学部系統を問わず、取り上げられやすい論考、論者であることがわかる。

 わかりやくいえば、現代社会において公正や正義は可能なのかというテーマである。「ハーバード白熱教室」でも例えば、クリスティアーノ・ロナウド学校教師の年収の差を取り上げたうえで、それをどのように捉えるべきかが議論されていた。この課題文でもサンデルは、次のロールズによる検討をふまえた社会的・経済的な不平等をもたらす偶発性の一例である「才能」について考察している。やや長くなるが、引用し紹介しておこう。

ジョン・ロールズ

格差原理は、生まれつきの才能の分配・分布を(いくつかの点で)共通の資産と見なし、この分配・分布の相互補完性によって可能となる多大な社会的・経済的諸便益を分かち合おうとする、ひとつの合意を実質的に表している。生まれつき恵まれた立場におかれた人びとは誰であれ、運悪く力負けした人びとの状況を改善するという条件に基づいてのみ、自分たちの幸運から利得を得ることが許される。有利な立場に生まれ落ちた人びとは、たんに生来の才能がより優れていたというだけで、利益を得ることがあってはならない。利益を得ることができるのは、自分たちの訓練・教育にかかる費用を支払うためだけであり、またより不運な人びとを分け隔てなく支援するかたちで自分の賦存を使用するためだけである。より卓越した生来の能力を持つに値する者は誰ひとりいないし、より恵まれた社会生活のスタート地点を占めるに値する者もいない。だがもちろん、このことがそうした〔生来の能力や社会生活のスタート地点の優劣の〕諸区別を無視したり(ましてや)廃絶したりする理由になるわけではない。諸区別を無視・廃絶するのではなく、そのような偶発性が最も不運な人びとのために機能するよう基礎構造を編成することができる。

(ロールズ『正義論』)

 「ジョン・ロールズってだれ?」と思った受験生に、ごく卑近な表現で伝えるとすれば、「大谷翔平藤井聡太を上回るようなスーパースター」とだけ伝えておこうと思う。

文系小論文基本講座

小論文対策

 こうした課題文やテーマを入試問題として選定している意味合い、つまり大学教員が受験生に対してどのような能力や資質を求めているのかへの理解を深めることが重要である。それをしっかりと理解し、準備を進めておくことと実際の答案で着実にその理解を表現することがキーポイントとなる。

 受験生や大学生の読解力や論理的思考力や表現力をどのようなものだと大学教員は捉えているのかを知ることで、的外れにならない準備の進行と答案の提出が実現する。また、提出答案のなかで《相手に伝わる文章や文章形式》を通じて一貫した論旨で展開できているかもポイントである。

小論文試験、面接について現職大学教員へ取材
(※画像クリックで該当ページへ)

※インタビュー冒頭部分(約9分)
※カフェでの取材だったため、周囲の音が入っていることを予め了解下さい

現代経済における企業とSDGs

 もう一方の蟹江憲史(慶応大学SFC)による現代経済における企業とSDGs、そして地球環境問題や後景化された貧困と格差などの諸課題をどう考えればよいのかに関して言えば、企業活動と環境問題や格差問題という難題を経済という大きな括りのなかで解決し得るのかというテーマである。こちらも大学入試小論文で出題され続ける重要テーマである。サンデルやロールズは、経済学が立脚するいわゆる「いつでも合理的な行動をとる個人」のようなものを前提していない。

 そして、とりわけロールズは抽象度の高い哲学的な議論となる。他方、SDGsに関連した議論は、高度に抽象的な内容とはなりにくい。具体的な内容が多く取り上げられるだけでなく、大学入試小論文でも具体例を挙げたうえで意見を述べるよう求める出題が多い。つまり、現代正義論に比して、受験生は答えやすいと感じるはずである。

 したがって、2023年度2022年度の出題はコントラストをなしており、どちらの「見方」からでも現代社会の諸問題を答案で議論できる柔軟性や幅広い視点が受験者に求められている。

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小論文の書き方

  • 小論文に関する基本的な考え方や知識(①②③)
  • 各大学の入試小論文解説(④)
  • 正答例にくわえてWeb上での講義(⑤)
  • 当校受講生の合格者の声(⑥)

を以下のリンクからみることができます。

小論文の
書き方
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小論文対策
のポイント
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③学習時間・
方法・対策開始
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大学入試の
小論文解説
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正答例&
Web講義
紹介ページ

合格者の声
(当校受講生)
紹介ページ

大学入試の小論文解説・正答例&Web講義

具体的な対策問題

過去問以外に、どのような問題に取り組むことが小論文対策になるかわからないといった相談の声が寄せられることがあります。
当校では、アドミッションポリシーを分析し、過去問以外で事前に取り組むべき対策問題を選定して提示するほか、時事課題論文については新聞記事から作問して用意するケースもあります。

参考)東大情報学環・お茶の水女子大・一橋大 院試過去問

例えば、東大情報学環(大学院修士課程)入試では、次のように出題される(2020年過去問)。
院試では課題文は与えられないことが一般的です。

以下はお茶の水女子大と一橋大の修士課程の過去問(2023年)。

※1 参考までに付言しておけば、国公立・私立を問わず、また志望校の難易を問わず、上記の他大学出題解説は役に立つものなので、閲読しておいてください(×「国立だから関係ないや」「私立だから見なくていいか」)
※答案を執筆した際は、出題分析の質の高さが担保された添削講評を受ければ、いわゆる書きっぱなしにならずに済むため、当校ほかで提供している「単発添削」や「講座受講」を活用することを勧めておきます

※2 なお、当校講師は社会情報学、メディア研究で博士課程で修学した経験や私立大学で「情報社会論」の講師を務めた経験があるため、東大情報学環(大学院修士課程)入試や社会科学系大学院修士課程入試の論文指導も可能です

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